来月14日の総選挙投票へ向けて各党が一斉に走り出した。今朝TBSの「サンデーモーニング」を観ていてコメンテーターのひとり、毎日新聞前主筆の岸井成格氏の発言が気になった。岸井氏が述べたのは、総選挙にはいくつも論点があるが、怖いのは特定秘密保護法案や自衛隊海外派遣法案が注目を集めないまま自民党が多数を占めることによって、法律改正を容易にしてその陰には憲法改正の意図が隠されていると話されたことである。
各紙のコメントを見てみると、論点はそのほとんどがアベノミクスに集中し、その成否に絞っている。安倍首相はデフレ脱却がもう少しのところへ来ているし、雇用が増えたアベノミクスの成果に自信たっぷりである。
だが、本当にアベノミクスは上手く行っているのか。昨日の日経朝刊には、アベノミクス2年間の評価として、①成長戦略の実現については、実質国内総生産(成長率)はマイナスであり、確かに雇用者数は増えてはいるものの実質個人消費も若干減少している。②デフレ脱却については、道半ばとの結論である。実質賃金は減り、日銀の長期国債保有残高は倍増である。③金融市場では株価は上がり、この2年間に1㌦=85.3円から117.5円まで円安となった。この円安がやや先走り過ぎたのか、貿易収支は芳しくない。挙句の果てに国の債務残高は2年間で40兆円も増え、国家の借金はついに1千兆円を超える膨大な金額になった。これらを総括してみれば、アベノミクスが順調だとはとても言えないだろう。日経平均株価が1万230円から1万7357円へ70%も上がったことばかりに光を当ててアベノミクスの成果を強調しているが、そこに妙な政治の動きが隠されていないことを願うばかりである。
問題は、岸井氏が懸念しているように経済政策以外の論点である。特に前記のように、特定秘密保護法の制定である。政府が安全保障に関する重要な情報を特定秘密に指定することによって政府が情報を隠蔽する心配はないか。集団的自衛権は閣議で行使容認を決定したが、これで安倍政権が増長し憲法解釈を変更する恐れはないか。更に原発再稼働について、九州電力川内原発は地元の賛同が多いようだが、わが国のエネルギー政策として脱原発を求める声が多い中でどういう舵取りを行うのか。首相が経済政策に焦点を絞ることによって他の重要課題から目を逸らせようと戦術を展開していくのではないかと考えると油断がならない気がしてくる。
これから各党の主張がヒートアップするだろうが、充分目配りをして基本的なポイントは見落とさないようにしなければならないと思う。
昨晩10時過ぎに長野県北部で震度6弱の地震が発生し、新潟県から南北に亘り静岡県まで震度3以上の地震発生となった。幸い死者はいなかったが、震源地近くでは二階家のうち、ほとんど一階部分がつぶれた。地震が頻発するようになったが、果たしてこれで原発再稼働は大丈夫だろうか。