また橋下徹・大阪市長のスタンド・プレイが顰蹙を買っている。大阪市教職員組合が教育研究集会を開こうとした折、大阪市が組合に会場を貸さなかったことに対して組合が市を訴え、市の使用不許可を大阪地裁は違法と判断し組合へ賠償を命じた。市長が言う労使関係条例の適用により、組合活動の場として会場を使用させないとの言い分は脆くも崩され、あまつさえ、地裁は教育研究集会を開かせないことは職員の団結権を保障した憲法に違反すると踏み込んだ判決を下したのである。判決の筋は通る。ところが、常人と大分違うのが橋下市長の橋下らしい頭脳構造とでも言おうか。この判決に素直に従うのかと思いきや、市長は控訴を考えているという。もうこうなると意地とか、メンツで控訴に踏み切ろうとしているとしか思えない。
この市長が常軌を逸しているのは、つい先日も来月の総選挙に大阪市長の職を投げ捨て大阪小選挙区から立候補すると公言したことである。不遜にも総選挙に打って出るかどうかは自分の意思で決めるとまで述べた。他人の都合とか、大阪市民なぞどうでも良いとでも思っているようだ。その発想は市長の持論である大阪都構想に公明党が反対したために、短絡的に大阪選出の公明党議員を落選させたいというわがままと狭量のためである。もし、その通りなら当然大阪市長は辞職せざるを得ない。市長職を中途で放り出し、また経費をかけて市長選が行われることになる。市長は3年前にも大阪府知事の職を投げ出し大阪市長選へ立候補して見事当選し市長になった。知事の仕事を蹴飛ばしてなった市長職までまた投げ出そうというのである。
結局思いつき市長はそのまま市長職に留まることを選んだ。それにしてもよくもこう次から次へと気持ちや持論が変わるものだ。
その二枚舌市長は地裁の判決がよほどお気に召さないと見えて、粉骨砕身市長職に取り組むよりもメンツをかけて、公費を無駄使いしながらこれから組合の会場使用問題を長い係争に持ち込み、公務を滞らせようとしている。
こんな手前勝手な理屈をこねて市長に選んでくれた大阪市民に申し訳ないとの気落ちはさらさらなく、市民に犠牲を強いる一方で、よくも彼ら市民の間からリコールの声が湧き起こらないものだと思う。これでは民主主義もへったくれもあったもんじゃない。酷い市長もいたものである。大阪市民でなくて良かったと言っては彼らに申し訳ないか。