昨日韓国の朴槿恵大統領の名誉を傷つけたとして起訴された加藤達也・産経新聞前ソウル支局長の裁判が始まった。なぜ加藤氏が産経のWEBサイトに書いた大統領に関する記事が大統領を誹謗することになり、起訴にまで持ち込まれたのかちょっと理解に苦しむ。
人気が下り坂で、あまり芳しくない噂が出回っていた大統領にとって少々神経質になっている向きがある。海外メディアからも報道の自由を抑圧するものだとの批判の声が高まっている。日本政府も遺憾の意を表明している。
そもそも加藤氏が記事を書いたニュースソースは韓国紙からである。にも拘わらず、その韓国紙は格別の制裁を受けるでもなく、その矛先を日ごろから従軍慰安婦問題で韓国政府の対応に批判的だった産経新聞の加藤氏に向けた意図がありありである。昨日の公判後裁判所から出た加藤氏の車を暴徒が取り囲み、車に生卵をぶつけて暴言を吐いていた行為に対しても日本政府は抗議した。
韓国国内では政府関係者らによるメディアへの民事提訴、刑事告発などが相次いでいるという。韓国国民の反日感情が強まって韓国政府がむしろ抑え目に行動すべき時に、逆に政府が反日感情を煽っている様子が感じられ、これでは政府高官レベルの両国会談を設営したところで所詮焼け石に水ではないかと考えられる。
海外メディアからもその対応を非難されている朴政権の今回の裁判沙汰を、韓国政府はどこに落とし所を見つけるのか。
さて、今日は駒澤大学マスコミ研究所の今年度公開講座最終講義が行われた。2時限の講義を聴講したが、1時限目の「新聞の国際報道と日本」でやや右寄りの大手新聞社出身講師がいう改憲論が私の考えとまったく相反して、やや言い合いになってしまった。今年度最初の講義の際講師は徴兵令が布かれたら進んで兵役に赴くなどと年齢的に徴兵令から逃れられる立場から無責任に言えることだと衝いたが、それなりの自論を話され、どうも話が噛みあわない。結局講師の意見は真に戦争の恐ろしさを知らない人の論理だと主張するに止めてそれ以上の発言を止めた。
2時限目の菱山郁郎講師の「現代日本政治と報道論」は、自分自身でも興味のあるテーマでもう6年間も受講している。講師が70歳の定年を迎え名実ともに今日が講師として最終講座となった。講師の父親が終戦の翌日「読売報知」紙に社説を書いた論客であることは何度も聞かされていたが、終戦直後という異常な時代の変わり目に、冷静に国民を鼓舞する主張をされていたことに敬意を憶えている。菱山講師のお人柄であろうか、前々週辺りからお別れパーティをしようとの声が上がって、大学近くのレストランで10人の受講生が講師を囲んでざっくばらんに会話を楽しんだ。この後の予定は立っておられないようだが、私より6歳も若くまだまだ働ける年齢である。ぜひともご自分の専門知識と人脈を生かしてご活躍いただきたい。とても良い講座だった。お疲れ様でした。