4598.2019年12月14日(土) 米中貿易戦争一時休戦

 昨日行われたイギリス下院総選挙の結果、保守党が大きく票を伸ばして圧勝となった。政権政党・保守党は298議席から今回365議席まで67議席も増やした半面、第2党の労働党が243議席から203議席まで議席を減らし、保守党は過半数を獲得した。来年1月末までのEU離脱交渉は加速されるだろう。ところが、うじうじした体質の保守党が一気に離脱するまでには、まずEUとの交渉をクリアしなければならない。また、イギリス国内各地のEU離脱に対する不満を解消しなければならない。

 特にスコットランドと北アイルランドのEU残留支持者を、どう説得するかが厄介だと思う。スコットランドには以前から残留支持者が多く、彼らとの交渉を誤るとスコットランド独立闘争へ火を点けかねない。さらに燻っている北アイルランド地方の独立、及び北アイルランドとアイルランドの統合、そしてアイルランド島内がひとつになった新興アイルランド国独立が息を吹き返さないとも限らない。厄介な問題だと思う。果たしてイギリスのトランプと呼ばれるジョンソン首相に、前途に横たわる難問を解決していく自信と能力があるだろうか。しばらくはジョンソン首相のお手並みを拝見するとしよう。

 一方この総選挙の結果は、世界経済的に見てほとんど景気浮揚にはつながらないが、世界経済に明るい灯をもたらすアメリカと中国の貿易交渉の一環である、通商文書で相互の関税に緩和措置に合意したと米中両国が発表した。これは両国の貿易、景気に左右される日本経済にとっても大いなるプラス材料で、昨日の日経平均株価は直ちに反応し、対前日比598円高の2万4023円と年初来最高値(2万3529円)を大幅に上回り、昨年10月3日以来約1年2カ月ぶりに2万4千円台を回復して取引を終えた。上げ幅は一時600円を超えたというから、米中貿易摩擦が如何に経済に影響するかをはっきり示した。しかし、これは日本経済にとってほんの臨時ボーナス程度に終わる可能性がある。

 このところ日本経済は景気低迷で税収見込みが芳しくなく、赤字国債を発行することを閣議決定した。米中対立による海外経済の減速、台風19号による工場の稼働停止、更に消費増税に伴う駆け込み需要の反動による減収などが影響し、4期連続で四半期景況観が下落している。このため補正予算を支出することを決定した。だが、その財源はまたも2.2兆円もの赤字国債を追加発行するという。お題目のように唱えていた財政再建はいつのことになるのやら。

 「アベノミクス 困った時の神頼み 金庫に貯まる赤字国債」

2019年12月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com