4595.2019年12月11日(水) 中国共産党と袂を分かつ日本共産党

 日本共産党は、来年1月開催の党大会でいくつか党綱領の改定を検討している。その中の大きな目玉に対中国政策の変更がある。「社会主義を目指す」としていた中国が果たして現実にそうであるかと言う点では、かねてより党内に疑問が出ていた。まず①核兵器問題に関して中国が変質したことがある。実際2017年に中国は「核兵器禁止条約」に反対すると言い出したのである。次いで②東シナ海、南シナ海での覇権主義的な行動、③国際会議の民主的運営を踏みにじる横暴な行動、④香港やウィグル自治区で人権問題の深刻化、などが、世界の平和、民主主義、人権を何よりも尊重すべき社会主義の原則や理念と両立出来ないとして、中国が社会主義を目指す国と判断する根拠が最早なくなったと結論づけた。今年世界を騒がせている香港デモについても、民主的な声をすべて否定して力でデモ隊を弾圧するばかりである。しかも1997年に香港返還が実現した時、向う50年間約束した「1国2制度」をデモの鎮圧を理由に押しつぶそうとしている。実際2014年駐英中国大使館がこの取り決めは一方的に無効と宣言している。これでは、真面目に中国とは外交協定締結はもちろん、外交的取引も出来ない。

 かつて中国共産党・毛沢東主席による文化大革命の際、中国は武装闘争路線に従わなかった日本共産党を非難して、一時両党は袂を分かち日本共産党を潰そうとまでした。その後1998年になり中国が反省して両党の関係は正常化した。ところが、国民総生産(GDP)が日本を追い越し、アメリカに次ぐ第2位となった2008年ごろから国際政治の場面で中国の動向に疑問が感じられるようになってきた。日本共産党の分析では、1949年に毛沢東らの革命戦争によって政権を握り、その後もソ連と同様「一党体制」が持ち込まれ、民主主義を発展させる措置が取られず、そのうえ中国には中国独自の根深い大国主義の歴史が邪魔していると考えている。

 今更と言ってもおかしくないくらい中国共産党の目指す社会主義は、声に出して言えば言うだけ社会主義の神髄から離れていく。現在の中国には、人権尊重精神のかけらも見られず、社会主義とは完全に別個の「中国式偽善社会主義」であり、それはヒューマニズムを一顧だにしない帝国主義的覇権主義である。

 公平な普通選挙は一切実施されず、共産党上層部が密室政治の中ですべての人事と政治を決定し、民意を無視した強権的な共産党独裁政治を行っている。日本共産党は気付くのがあまりにも遅かったと言いたい。

 漸く目覚めた日本共産党が、中国共産党に言うべきことを言い、2度目の袂を分かつというのは、中国政府のやり方に不満を抱いていた日本共産党シンパにとっては、評価出来る対応だろうと思う。しかし、それにしても中国はどうして社会主義の道を踏み外すような堕落した「自称社会主義国家」にまでなり下がってしまったのだろうか。もう好い加減に「中華人民共和国」という国名から「人民」を取り除いたらどうだろう。

2019年12月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com