4592.2019年12月8日(日) 78回目の太平洋戦争開戦記念日

 78年前の今日、昭和16年12月8日日本は太平洋戦争に突入した。私はまだ満3歳だったので、当然ながら実践の体験はない。その間疎開もし、米軍戦闘機が襲来すると防空壕へ逃げ込んでじっと飛行機が飛び去るのを待っていた。そして、昭和20年8月15日国民学校初等科1年生の時戦争は終わった。

 今朝の朝日「天声人語」に武者小路実篤が開戦17年前に日米戦争の噂を心配して「まさかないと思うが」と前置きして、そんな戦争がいかに馬鹿げているかを論じていたと紹介している。それが戦争が始まるや、武者小路には非戦論の面影がなくなった。彼は「真剣になれるのはいい気持ちだ。僕は米英と戦争が始まった日は、何となく昂然とした気持ちで往来を歩いた」とまで言ったとある。その変わりようには筆者のみならず私自身も驚いている。だが、軍部ファッショは言論を弾圧し、メディアは軍に迎合して日本は益々軍国化し戦争に突っ走って行った。

 先月ペリリュー島「最後の生還者」の旧日本軍元軍曹が亡くなられた。同島で玉砕した同僚を思い苦しんだ元軍曹は、戦争に徹底して反対し戦争についても語ることも少なかった。4年前に当時の天皇・皇后両陛下が戦没者慰霊のため島を訪れた時、彼もペリリュー島へ行って、両陛下から慰めの言葉をかけられ多少口を開くようになった。だが、心から打ち解けて戦争について話すことはほとんどなかった。戦争の恐ろしさをとことん知っている戦前派、戦中派の人たちは、戦争には絶対反対を主張する。一方で戦争を知らない安倍首相らより若い世代は、戦争の怖さを知らない。そういう世代が増えたことによって反戦の空気が薄まることが懸念される。

 終戦記念日には、天皇・皇后両陛下が武道館にお出ましになって、政府主催の戦争犠牲者を慰霊する全国戦没者追悼式でお言葉を述べられるが、今日開戦記念日には国の主催による式典は行われず、メディアの取り上げ方も少ない。戦争が終わった今日こそ反省を込めて全国民が肝に銘じるための儀式を行うことは意味があると思う。むしろ戦争を始めた日こそ反戦記念日として広く国民が、2度と戦争を繰り返さない覚悟と反省の日とすべきであると思っている。

 縁あって長年に亘り陸軍航空隊慰霊団のお世話をして、同時に旧厚生省主管の戦没者遺骨収集事業に関わってきたことによって、戦地でご苦労された元日本兵の方々から奥深い話を聞くことが出来た。それは想像も出来ないぞっとするようなエピソードから、現地人と結ばれ戦地に残った旧日本兵の話まで涙ながらの話が多かった。その都度戦争の怖さ、残酷さを思い知らされたものである。そういう人たちの気持ちを受けて、戦争には断固反対の気持ちには揺るぎがないと思っている。その点では、今の政治家たちは戦争の恐ろしさを知らない戦後派がほとんどで、何とか憲法9条を改正し自衛隊を軍隊に変えて日本を再び戦争出来る国にしようと動き回っている。自衛隊に海外派遣させて自らは身内とともに安全な環境でのんびりしている安倍首相以下全閣僚は、1度でも好いから弾丸の飛び交う厳しい戦争の最前線へ身を置いてみてはどうか。戦争の恐ろしさが分かると思うし、憲法改正にも否定的な考えが生まれてくると思う。

2019年12月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com