太平洋戦争開戦のエポックメーキングな日を日本人は忘れてしまったのだろうか。今朝からテレビを通して一言も語られることなく、新聞にもニュースとして採り上げられていない。僅かに朝日の「天声人語」で今日の七曜が73年前の開戦当日と同じだったと暦の話に触れている程度である。こんなに戦争に無関心な開戦記念日の年は初めてである。
昨年辺りまでは昭和11年2月26日に発生し、戦前の日本を軍国主義へ駆り立てて行った2.26事件をメディアが報道しないことを残念に思い、不満も感じていた。それがあの忌わしい戦争の火蓋を切った日本にとって歴史的な真珠湾攻撃の日をメディアがまったく伝えようとしないことは、今安倍政権がジャーナリズムへの圧力を強めつつあることと関係があるのではないか、いわば恣意的な意図があるのではないかと疑いたくなる。そうだとすると危うい世の中になってきたものである。
折しも昨日の本ブログでも取り上げたアメリカのオバマ大統領の日本への干渉発言について、同じような内政干渉を思わせる記事が、今朝の朝日新聞一面の元アメリカ国防次官補ジョセフ・ナイ・ハーバード大学教授のインタビューに見られる。知日家として知られ対日政策に詳しいナイ氏は、日本国内の米軍基地問題について日本政府に対して極めて批判的である。日本政府、況してや沖縄県民の基地に対する考えについて大きな不満を述べている。戦後沖縄を植民地的思考で管理し続け、辺野古への移転ですら長期的には解決策ではないと身勝手な論理を吹聴し、散々日本が苦しんでいる問題をいとも簡単に突き放している傲慢さである。
ナイ氏は中国の弾道ミサイル能力向上に伴い、固定化された基地では安全保障は脆弱であると捉え、もっと日本国内に基地を分散することを要求しているのである。現在の脅威に対処するには最適とは言えない米軍基地の在り方を変えていくべきであるとまで述べている。前線にある日本国内の米軍基地の在り方を自分たちの思うように考えろと日本に言っているわけである。
だが、ナイ氏は一体全体どこの国の安全保障を言っているのか。どこの国の安全保障に口出しようというのだろうか。少し日本と日本人を舐め切っているように受けとられても仕方があるまい。ナイ氏が日本国内からの反発を承知のうえで、ここまで思いきって発言するのは、長い間日本の政治家や外交・防衛官らとの間でいくら言っても日本の外交官が受け入れようとしなかったり、聞いたふりだけしていたことが、結局ナイ氏に諦めの気持ちと不遜な言動に走らせたのではないだろうか。
政治家や外務・防衛官僚もよくナイ氏の話を聞いて是々非々で、日本の実情、更には日本防衛問題を彼に対して毅然として言うべきではなかっただろうか。