4542.2019年10月19日(土) ホルムズ海峡へ海上自衛隊派遣

 アメリカとイランが不仲のこの時期に、中東のホルムズ海峡近くのオマーン湾で6月に日本の船舶を含む2隻の石油タンカーが何者かの攻撃を受けて炎上した。アメリカはイランが仕掛けたと強く非難した。7月に入ってからイランが米軍の無人偵察機を撃墜したことを受け、アメリカのトランプ大統領は報復措置として同国への軍事攻撃を承認した。まもなく大統領は発言を取り消したが、両国間には不穏な空気が漂っている。その後アメリカは民間船を守るためホルムズ海峡周辺で活動する有志連合結成構想を提案し、同盟国へ参加を要請していた。日本に対しても当然の如く要請があった。しかし、有志連合に加盟することは、取りも直さず友好国イランを敵に回すことであり、これまでの日本とイランの友好関係を考えるといくらアメリカに忖度したにしてもその要請は受け入れられず、政府としても頭を痛めていたところだ。

 そこへ昨日政府は唐突に「中東情勢の安定と日本に関係する船舶の安全確保を理由に、ホルムズ海峡周辺のオマーン湾など中東への自衛隊派遣を検討することを決めた」と発表した。

 アメリカから同盟国として有志連合への参加を強く求められていた日本政府が、アメリカ主導の海洋安全保障計画に参加しないことについて、菅官房長官はアメリカとは緊密に連携を深めていくと言いつつ、日本としてどのような対応が効果的か総合的に検討した結果、日本独自の取り組みを行っていくことにしたと苦しい胸の内を説明した。アメリカにも、イランにも配慮した苦し紛れの一策だろう。アメリカの強引な戦略に引きずり込まれず、イランの顔も立てたということから、一応国際的な面子は保たれたのではないだろうか。

 しかし、それはそれとして、海上自衛隊が新たに海外へ派遣されるということは改憲議論の姦しい最中に、再び自衛隊の海外派遣が現行憲法に違反しないかとの議論を呼び起こすことになる。

 近年になって自衛隊法に基づき1991年に海上自衛隊掃海艇をペルシャ湾へ派遣し、翌92年にはPKO協力法により陸上自衛隊の施設部隊をカンボジアへ派遣した。その後もインド洋、クウェート、イラク、ソマリア沖、南スーダンへ自衛隊を度々派遣して今では歯止めが利かなくなっている。この辺りを今後どう考えるのか。このままで良いのか。自衛隊海外派遣の課題として検討すべきではないだろうか。

2019年10月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com