首題は、今朝の朝日新聞のトップ見出しである。やはり戦前の予想通り自民党が強かった。2年前に惨敗を喫した民主党は大分議席を回復させたが、野党の協調はバラバラでとても自民党と横綱相撲を取る力はない。特徴的だったのは、「維新の党」と袂を分った「次世代の党」が壊滅的な敗北を喫して公示前の19議席から、たったの2議席にまで落ち込んだことである。党勢拡大で目立ったのは、共産党が8議席から21議席にまで伸ばしたことである。
予想では300議席を上回るのではないかと言われた自民党が公示前より3議席落としただけで、4議席増やした公明党との与党勢力としては、全議席数の3分の2である317議席を上回る325議席を獲得した。早速安倍首相は憲法改正に向けた議論を推進する考えを表明した。朝日は以前選挙前に宰相像として選ばれて政権を委ねられた者は、多数派だけではなく、すべての国民の代表として振る舞うことを求めた。更に、日本をどのような社会にしようとしているのか、安倍首相は実績ばかり強調して未来を語らなかったが、自分の言葉で国民の了解を得る努力をすべきだとも要望している。
益々右傾化する自民党・公明党政権を監視していくことが必要である。
今回の選挙で心配されていたことが現実となった。投票率の低下である。戦後最低の52.66%である。前回59.32%も戦後最低だったが、今回はこれを更に下回っている。詳しくはこれから分析されるだろうが、香港の若者が自由選挙を求めて2カ月余りも座り込んだ姿を直近に見ているだけに、若者の投票離れには危機感を覚える。繁華街で若いカップルに尋ねたところ、投票日だとは知らなかったという惚けた応えが還って来た。中には今の政治は若者のことを考えていないので、投票には行かないなどと無責任極まる発言をしていた女子大生がいたが、どうしてそういう考え方をするのかとんと分からない。若者が権利を放棄して投票しないから若者のための施策が不十分なのではないか。政治は右傾化し、若者は政治無関心化して、日本は一部の世襲政治家が思うようにいじくりまわし、かかった費用は国民に押し付ける嫌な国に着々近づきつつあるような気がする。恐ろしいことである。
夜は吉祥寺の武蔵野商工会議所で拙著の主人公・相澤進の生涯について講演した。市民一般に公開したようだが、ほとんど市内で事業経営している人が聴講された。割合年配の人が多かったので、戦前の南洋群島とか、昭和25年前後のプロ野球については大分興味があるようだった。その後の会食会にもお誘いいただき、懇親を深めることができた。それぞれ事業家として成功されている方々ばかりなので、ユニークなお話も聞けて大分参考になった。中でもベトナムへ度々出かけてダナンに学校を建設し、校名に交通事故により20歳で亡くなられた娘さんの名「ジュンコ」と名づけたという話には泣かされた。良い話をしたつもりが、逆に良い話を伺えたことは、講師冥利に尽きる。