2775.2014年12月18日(木) アメリカ、キューバと国交正常化へ

 今朝の新聞を見て驚いたのは、唐突にアメリカとキューバが両国の外交関係正常化へ向けて踏み出すと表明したことである。考えてもみなかったことで時の流れを感じざるを得ない。60年安保闘争が終わり、耐え難い敗北感を味わった後にしばらくして、国際社会は米ソの対立が抜き差しならない事態に追い込まれた。61年アメリカとキューバ両国の外交関係は断たれた。62年にはアメリカがキューバにあるソ連のミサイル撤去を要求して海上封鎖するキューバ危機に発展し、今にも核戦争が勃発するのではないかと世界中に緊張が走った。我々学生も冷戦下にあった米ソの開戦、第3次大戦が始まるのではないかと心を痛めたものである。国連総会ではアメリカの対キューバ経済制裁を止める提案が何度となく可決されたが、アメリカが封鎖を解くことはなかった。キューバ革命を成し遂げたフィデル・カストロ国家評議会議長とアメリカ政府のメンツのぶつかり合いとなった。危うい時代だった。ソ連が自発的にミサイルを撤去して一触即発の最悪の事態は免れた。

 あれから半世紀余が過ぎ、88歳のフィデルは今では表舞台を去り、83歳の弟ラウル・カストロが国家評議会議長として国家の顔となった。そのラウルとアメリカが怨讐を越えて縒りを戻そうというのである。

 まだ社会主義国家健在の頃に何度となく東欧圏を訪れたが、西欧社会と違って植民地を持たない東欧の街中で有色人種の人々を見ることはほとんどなかった。それが、キューバ人だけは特別のように時折その姿を見て、キューバと東欧諸国、とりわけ旧ソ連との強い繋がりを感じたものだった。

 そう言えば今年から日本のプロ野球界にもキューバ選手の姿が見られるようになった。遅れていたのは国家の中枢だけで、末端ではすでに雪解けが始まっていたのである。

 その旧ソ連時代から引き継がれてきたロシアの現代通貨ルーヴルがこのところ下がりっ放しで、何か皮肉的なイメージに見える。今年6月に1㌦=110ルーヴルだったが、それが今週にはついに45ルーヴルにまで下落している。ルーヴルの価値が急落した背景には、ロシアのウクライナ侵攻に対する欧米の対ロ経済封鎖、そしてロシアの外貨の半分を稼いでいる原油の大幅な値下がりがある。その影響はすでにロシアでルーヴルのドルへの両替ストップや、食料品価格の値上げによってロシア市民の生活を脅かしている。

 アメリカは経済制裁の手を緩めないようだが、対応を一歩間違えると世界的な経済危機に発展すると懸念されている。どうなることやら、当分の間ルーヴルと石油価格の行方から目が離せない。

2014年12月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com