2778.2014年12月21日(日) トップの言動がお互いの親近感に影響

 内閣府が外交に関する世論調査を発表した。その中で中国と韓国への親近感という一項があるが、国がこんなことを調査すること自体、質問や分析が彼らのお気に召さなかった場合の反応が若干気になる。近年両国との外交関係は悪くなる一方で、お互いに自国に有利な主張と立場ばかり繰り返しているので、良くなる期待感が持てない。

 案の定1978年調査を開始して以来中国と韓国への親近感はこれまでで最低となった。特に日本人の中国に対する親近感は僅か14.8%となり、尖閣諸島を巡る摩擦の影響が大きいが、中国の強引な海洋進出による南シナ海におけるベトナムとフィリピンとの領海紛争が大きくなったことも中国人の傍若無人ぶりに警戒感を高めたと見られる。そして最近の小笠原諸島近海におけるサンゴ密漁が日本人の間に中国人への不信感を駆り立てている。他人の家に無断で入り込み財産を奪っていく泥棒沙汰の繰り返しに憤りを感じた。更に国家首脳の不遜な言動が大いに不人気を煽っている。こうしてみると日本人としては、中国に言いたいだけ言われ、そのうえ他人の家に押し込み強盗のように荒らしまわるパフォーマンスに嫌気が差して親近感が遠のいていくのもある程度理解できることだ。それが、逆に言えば中国に親しみを感じない日本人が83.1%にも上った数値に見られる。この感情を親しみに変えていくのは容易なことではない。文化面や、スポーツなどを通して国民一人一人が地道な活動を通して交流を深めて行かなければならない。愚かな政治的な言動が一気に友好を憎しみに変えてしまう。この点で何と言っても政治家の責任は重い。

 今朝の朝日新聞のコラム「日曜に想う」に海外勤務の特別編集委員が久しぶりに帰国したときの印象を綴っている。「横から目線で日本を眺めなおす。経済力、生活水準、民度に比べ、いかんせん政治が見劣りする」。

 日本はもちろん、中国、韓国の3国の国家権力を掌握しているトップは、すべて申し合わせたように世襲政治家である。日本の世襲政治家も愚かであるが、中国の世襲政治家にも世間知らずが多い。習近平国家主席しかりである。両国ともに世襲政治家をなくすようにしないといつまで経ってもお互いの親近感は高まらないだろう。

 一方韓国についても日本人の親近感は低落傾向にある。中国に比べればまだしも、それでも日本人の3分の2が韓国に親しみを感じていない。中国と違って日韓の間には従軍慰安婦などの歴史認識問題が存在することは事実である。更に日本人がそう感じる大きな原因の一つは、世襲政治家・朴槿恵大統領の存在だろう。頑なに日本に顔を向けようとしないあの頑固さに日本人は辟易している。個人的な性癖だろうが、あれだけ突っ張っていたのでは話し合いも始められない。

 因みに歴代の韓国大統領11人の中で最も国民から信頼を受けているのは、誰あろう朴大統領の父・朴正熙だった。私利私欲のない軍人らしい公明正大さが国民から愛されていた。悲劇的な死を遂げたその父の知名度をバックに世襲政治家となった愛娘の朴現大統領には、清濁併せ呑む度量が足りないように思える。日本の安倍総理然りである。今のまま世襲政治家が跋扈するようでは、国の将来はもちろんのこと、外交関係においても好転はあまり期待できない。双方に取ってお互いに極めて不幸なことである。

2014年12月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com