一昨日は冬至、昨日は天皇誕生日、そして今日はクリスマス・イブを迎えて祝日と節目の日が続いたが、中でもクリスマス・イブは最近ではその光景がやや浮かれ気味で、メディアと商業ペースに乗せられ騒々しく騒いでいるだけのような印象がしてならない。残念ながら我々の小学生時代には、クリスマス自体話題になることはなく、まだサンタクロースも知らなかったと思う。
今日は第3次安倍内閣発足の日でもある。閣僚は全員再任と思われていたが、江渡聡徳・防衛大臣が政治資金問題を理由に再任を辞退してちょっと出鼻を挫かれた。しかし、先の総選挙で過半数を制し数的には安定政権となって、これから安倍首相は思い通りの政策を実行することだろう。
その中で最も懸念されている(1)沖縄普天間基地移転、(2)原発再稼働問題の内、(1)については沖縄の選挙では4つの小選挙区で自民党候補者は悉く基地反対派に敗れた。いかに基地問題について県民の反対の声が根強いかと言うことを肌で感じた筈である。それでも絶対多数を受けて反対を押し切り、当初の予定通り普天間から辺野古への基地移転計画を進める方針のようである。(2)についても政府は着々と布石を打っている。川内原発では原子力規制委員会の安全審査をすでにクリアした。担当大臣も原発再稼働に前向きな発言をしている。国民だけが原発再稼働議論から置き去りにされている。
原発問題については新たな問題点が見え隠れしている。その中で東日本大震災では予想もしなかった絶対安全とされた原発が事故を起こしたために、賠償制度が整備されておらず、事故後慌てて原子力損害賠償法を補う支援機構を作り上げた。このほど東大客員研究員・遠藤典子氏が「原子力損害賠償制度の研究」で「大佛次郎論壇賞」を受賞した。私はこの論文に目を通していないが、新聞で要点だけを読んでみると遠藤氏は自著の中でこの制度を評価し、更に踏み込んで破局的な原発事故の損害賠償資金は、次の4つの組織、グループが負担を分担すべきだと主張しているようだ。それは、①事故を引き起こした原子力事業者であり、これは負担割合はともかくとして当然である。②電力事業者から電力供給を受ける電気利用者としている。③事業者以外の原子力事業者で、これは同業者としての相互負担としている。④国が負担すべきとしている。
この内で②電気利用者とされている我々庶民がなぜ電力会社が起こした原発事故の過大な責任を負わされなければならないのかという根拠が、あまりにも短絡的で、独善的かつ理不尽でとても納得できない。しかも、私を含む多くの住民は原発再稼働に強く反対しているのである。それでも原発事故発生の場合は、その賠償費用を電気利用者が負担しなければならないのだろうか。その言い分はとても承服できるものではない。どうしてこんな理解し難く、世間が納得できない論文に、「大佛次郎論壇賞」を授けることになったのかとんと見当もつかない。
しかし、このように一部理論武装して、国民に負担を負わせるようにしながら賠償金の原資を担保したうえで、政府は原発再稼働を粛々と推進して行くのではないだろうか。これでは学者と政治家の結託と言わずして何と言うべきであろうか。