2782.2014年12月25日(木) 国民として知るべき戦前・戦中の暗い歴史

 録画していてまだ観ていなかったビデオを今日になってまとめて2本観た。ひとつは今夏終戦記念日特集として放映されたNHKのドキュメンタリー「狂気の戦場ペリリュー-忘れられた島」と、もうひとつは、一昨年と今年の2.26事件記念日前後に放映された、同じNHKドキュメンタリー「徹底検証2.26事件」である。

 前者については、近刊拙著でミクロネシアについて書いたが、その西隣パラオにあるペリリュー島の日米両軍の地上戦のすさまじさを映像とナレーションであぶり出したものだ。3日以内に陥落させると米軍が豪語したペリリュー島は日本軍の激しい抵抗に遭い、アメリカ国内では厳しい地上戦の末米軍史上最悪の死傷率の犠牲者を出した島としてつとに知られている。だが、日本では近年ペリリュー島の戦いはあまり知られることもなく、残念ながらスキューバ・ダイビングで知られるパラオ共和国のひとつの島程度にしか知られていない。そのペリリューには一度だけ行ったことがある。それも旧トラック島のケースと同じように厚生省の遺骨収集事業の下見だった。パラオ本島からどういう風に行ったのかもはっきり覚えていない。その後やはり激戦の島、アンガウル島も訪れた。ペリリュー島には日本軍の司令部跡や戦争の戦禍があちこちに残され、島内は相変わらず鬱蒼としたジャングルに覆われていたことが強く印象に残っている。

 番組では復員した旧日本軍人が目前の死闘について涙ながらに語る姿は、もらい泣きせずにはいられない。こうしてこの旧南洋群島の島で、お国のために若くして命を喪った薄倖の人々がいたことを知る人がだんだん少なくなっている。その意味でもこうした番組を時折流してくれるのは意義のあることである。

 後者は、これも年々メディアで伝えられることが少なくなった2.26事件である。大分前に松本清張著「昭和史の発掘」を読み、知らなかった昭和史の一断面として2.26事件を関係者の行動を通して知ったが、なぜあの時代にこのようなクーデターが起きたのかという点について、画像を交えながら4人の学者が考えを述べていた。特に、関心をそそられ非情さを感じたのは、陸軍内部の派閥争いと、若手将校たちをそそのかしたうえで自分に不利となると彼らを突きっ放した、一部の将官のあまりにも冷徹で無慈悲な行動である。いつの時代でも利己主義の塊のような人物がいるものである。

 いずれも普段はあまり気にもかけない歴史的史実であるが、歴史を知ろうと思えば避けては通れない事象である。こういうことがあまり世間に知られることがなくなり、その一方で戦前の暗い時代に似た考えやパフォーマンスが「いざ!鎌倉!」とばかり出番の機会を窺っている、昔の軍閥もどきに目くらましをかませられないよう気をつけなければいけない。

2014年12月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com