4489.2019年8月27日(火) インドネシアの首都移転と他国の例

 かねてより噂にも上がり、ジョコ大統領が広言していた通り、インドネシアは首都をジャカルタからカリマンタン(ボルネオ)島東カリマンタン州に移転することを正式に発表した。首都の移転にはそれなりの理由があるのだろうが、中には移転の意図や目的が理解し難いものもある。現在のジャカルタはオランダ植民地時代から首都機能があり国の中心として発展したが、人口の過密により渋滞、大気汚染が深刻な状態でかねがね移転が考えられていた。ただ、移転と言ってもまだ移転先の土地がここと決まったわけではないようだ。2020年にカリマンタン東海岸の州都サマリンダと戦時中旧日本陸軍が駐屯していたパリクパパンの間の通称「スハルトの丘」周辺に新首都建設をスタートさせて、完成移転するのは24年のようだ。権力者になるとつい私欲が顔を出し勝ちだが、ジョコ大統領も「スハルトの丘」を「ジョコの丘」に変えるとでも言い出しかねない。

 カリマンタン島はインドネシアとマレーシアが国土を分かつと同時に、マレーシア領土内に小さなブルネイ王国があるが、どこも森林地帯が多い。かつてサンダカンを訪れた時にオランウータンの保護施設を見学したが、周囲はジャングルに囲まれていた。「スハルトの丘」がどういう土地かは分からないが、5年後の移転時に果たして首都機能を十分発揮することが出来るだろうか。

 ところで、首都の移転は途上国では時折行われるが、先進国ではあまり例を聞かない。小学生時代に首都名前比べで遊んでいた時にブータンの首都はプナカだったが、今ではティンプーに替わった。ビルマ(現ミヤンマー)は国名も首都も変わって、ミヤンマーの首都はヤンゴン(旧ラングーン)からネピドー(旧日本陸軍航空隊基地が置かれていた旧ピンマナ)へ移った。しかし、経済、商業、その他すべての面で首都的役割を果たしているのは、相変わらず旧首都のヤンゴンである。中でも最も新しい首都移転であるスリランカのケースがよく分からない。

 1948年スリランカはイギリスから独立してセイロンとなった。1978年スリランカに国名を変更し、85年首都はコロンボからスリ・ジャヤワルダナプラ・コッテに移転した。この首都移転の意図が分かりづらい。第一にこの長い名前である。スリ(聖なる)ジャヤワルダナ(第2代大統領名)プラ(街)コッテ(元々の街の名前)というのだから、覚え難くて些か人騒がせな地名である。しかも旧首都コロンボから僅か10㎞しか離れていない。今でも賑わいの中心はコロンボである。内戦の発生などで中々移転が進まなかったが、すべての機能が移転したわけではない。漸く首都機能を備えるところまできた。

 さて、翻って日本で首都移転は考えられるだろうか。大阪府が都構想を打ち出しているが、今や首都機能は圧倒的に東京にあり、大阪及び他都市が東京に取って代わって首都移転することは考えられない。東京に住む我々東京都民としては、もちろん首都移転してもらいたくないと思う。

2019年8月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com