4487.2019年8月25日(日) 権威と影響力が低下したG7サミット

 昨今の異常気象による世界的な熱帯化現象は、自然界に大きな変化をもたらしている。近年ロスアンゼルス近郊の山林で火災が発生することがしばしば報道されている。住宅地帯まで飛び火して住宅を焼失する人々が出ており、そんな時カリフォルニア州では消火剤などを空中散布して被害の拡大を防いでいる。

 ところが、今アマゾンの山林火災では森林が燃えるまま自然消火を待っている状態である。ブラジル政府が消火に後ろ向きで、樹木が燃える状態を放置していることに対して、国際社会から森林材の保護と地球温暖化の観点から厳しい目が向けられている。ブラジルのトランプ大統領と皮肉られているボルソナーロ大統領が、森林火災の消火について資金がないと消極的姿勢だったが、国際社会から非難され方針転換をせざるを得なくなり、漸く軍を出動させること決断した。

 近年アマゾンの森林火災による焼失や、違法伐採が増えつつあり、ルセフ前大統領の環境保護姿勢に比べて、ブラジルのトランプと称されるボルソナーロ大統領は手を拱いて国際社会の信頼を失いつつある。

 森林火災については、1988年アメリカのイェローストーン国立公園が山火事により総面積の45%を焼失した時、公園当局は消火剤を散布せずに自然消火によりその後の森林の復活により自然保護につながったと評価された。これは手を拱いて火災が拡大するのを放置しているブラジルのケースとは違う。実際イェローストーン火災の2年後に現地で植物が再生している様子を実際に見て感動し、‘NATIONAL GEOGRAPHIC’誌に寄稿し掲載もしてもらった。ボルソナーロ大統領の無策は、世界に酸素と真水をもたらすアマゾン河の恩恵に対して世界中から寄せられる評価をないがしろにするものだと思う。

 さて、昨日からフランスの人口3万人の小さな町ビアリッツが世界中から注目されている。近くを何度か通っているが、寡聞にしてその都市を知らなかった。今ここで主要7か国首脳会議(G7サミット)が開かれているが、アメリカのトランプ大統領から「なぜ出席しなければならないのか」と呆れるようなボヤキが発せられているようだ。アメリカ大統領が自分の立場をまったく理解していないようだ。昨年カナダのG7では他国の首脳と考えが合わず、一足早く会場を去り採択された首脳宣言を承認しないとツィッターで発言して物議を醸した。どうも他の国の首脳とは異質で、今年のG7では議長国フランスのマクロン大統領は、今年は首脳宣言を発表しないと先手を打っているが、このG7も年々内容が空疎になり、影響力が弱まっている。今年はこのトランプ大統領に加えて、もうひとり厄介な疑似トランプ氏が初めて出席する。先月メイ首相の後任としてイギリス首相に就任したばかりのジョンソン首相である。この人物もパフォーマンスの好きな人だけに、トランプ氏と揃い踏みでどんなショーを見せようとしているのか、些か心配である。

2019年8月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com