4484.2019年8月22日(木) 横浜市長、約束を裏切りカジノ誘致

 法律で認められたカジノを誘致する動きが少しずつ進んでいるようだ。すでに大阪市は2025年万博開催に合わせて人工島にカジノ施設を建設する計画を着々と進めているが、政府としては国内に3か所を整備する方針を示しており、大阪以外にも和歌山、愛知、長崎、北海道などが誘致に名乗りを上げている。それでも地元住民の間にはギャンブル依存症や治安悪化などを心配する反対の声が強い。

 そんな中で港湾事業者の強い反対の声を受け、カジノ誘致に消極的姿勢を示していた横浜市がここへ来て微妙にスタンスを変化させていたが、今日林文子市長がカジノを含むIRの誘致を進める方針を表明した。市長は「私どもの子どもたちの世代においても、将来にわたり成長・発展を続けていくため、横浜においてIRを実現する必要があるという結論に達した」と説明した。これでは後世代には、ギャンブル依存症や治安悪化も負の遺産として残したいと言っているようなものではないか。なぜ市民の強い反対を押し切ってまで悪名高いカジノへ手を伸ばそうとするのだろうか。

 私自身もちろん賭博であるカジノには大反対であり、僭越であるが、近々上梓される共著「新世代の観光立国」(交通新聞社刊)の中で簡単であるが、皮肉っぽく反対意見を書いた。林市長は、一昨年の市長選を前にそれまでのカジノ積極論から白紙として慎重な姿勢に変わった。それが市民を裏切り今日に至って再び態度を変えたのである。

 実は、横浜市によると、2018年に横浜を訪れた観光客は3420万人。17年に比べ5.8%減った。過去5年を振り返っても、3500万人前後で推移し、大幅な増加傾向は見られない。横浜市は日本全体で増加している訪日外国人の取り込みにも後れをとっている。15年から17年の外国人宿泊者数は日本全体で6561万人から7969万人と1.2倍に増えたのに対し、横浜市の外国人宿泊者数は72万人から73万人と微増にとどまっている。更に外国人観光客を取り込み切れていないのは、クルーズ船の寄港回数からもうかがえるという。かつては首都・東京の外港として日本の海の玄関口を担った横浜だが、クルーズ船の寄港回数では15年から博多港に国内首位の座を明け渡している。18年の実績は博多、那覇、長崎に次ぎ、国内で4位にまで落ちた。日本で3カ所しか容認されないカジノを含む統合型リゾート施設(IR)が横浜にあるとなれば、国内外の観光客を引き寄せる格好の材料になるとの言い分である。IRはカジノだけでなく、ホテルや商業施設、数千人規模の国際会議場などを併せ持つ複合施設であり、横浜市はIR開業後の観光客数が年間4400万~7800万人に増えるとし、経済効果(全体)は年間約7700億~1兆6500億円に達するとの試算で、IR誘致のメリットがあると言われている。そう黙阿弥通り上手くいくだろうか。これらの点から林市長は一旦は捨てたIR構想を、市民の反対を無視してでも再度やってみようと再挑戦の考えが浮上したのではないだろうか。

 しかし、横浜市内をうろつく博打師やヤクザの光景は、見たくもないものだ。ここは林市長がひたすら「白紙」と言葉を濁していたが、結局のところ金の誘惑に勝てなかったということだ。やはり一度政治家になるとウソをつくことに平然としていられるようになるものか。林市長には、前回の市長選の時の気持ちを思い出してもらい、是々非々を謙虚に検討して市民に丁寧に説明し、納得のいく結論を出して欲しいと思う。

2019年8月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com