首題の言葉は中国の「人民日報」他中国の新聞各紙が選んだ今年の世界10大ニュースのトップ・ニュースである。では我が国とは一体どこの国かと問えば、??と首を傾げたくなる自分たちの国「中国」自体を指しているのである。自画自賛がこれだけ臆面もないとすると、国家としての恥を感じることがなく、羞恥心がないのと同じである。生真面目な顔をして今年中国は世界中からその外交ぶりを称賛されたというのは、一体全体誰が言ったのだろうか? 冗談ではない。中国から莫大な援助を受けている小国を除いて、どこの国も中国の外交に呆れはすれども称賛なんてことはこれっぽちも思ってはいない。ただ、中国がそう言われてみたいだけなのである。ありえないことを恥ずかしげもなく世界へ向かってPRするとは、とても一等国のやることではあるまい。所詮三等国に過ぎないことを自ら進んでアピールしているだけである。
昨晩テレビのエンタメ番組の中で、このジョークのような実話が紹介されていたが、そう説明していたキャスター自身、周囲の評論家と笑い出してしまったのである。エッ!と失笑が漏れた。私も思わず釣られて笑わざるを得なかった。ある評論家はこう言っていた。元々中国人は中華思想の持ち主だから、いつも中心にいてちやほやされていないと納まらない人種なのだと。
はっきり言って中国の外交は、他国から顰蹙を買ったり、愚弄、軽蔑されることはあっても現状では称賛されることはほとんど期待できない。それは中国人自身が一番分かっている筈である。だから、せめて自分たちだけでも慰め合ってそう言わないとやりきれないからだと思う。それなら、実際に称賛されるような外交努力を怠らなければ良いのではないかと言えば、それがこの国の一種特殊なところで、国内を波乱なく統治するために権威主義と権力志向を外へ向けるとつい自国領土を越えてちょっかいを出してしまう。そもそもそれが顰蹙を買っているのではないだろうか。強大な軍事力を背景に南シナ海へ進出する侵略的行為はその最たるものであろう。
今や内憂外患の中国としては、何とか国を治めていくために、ありとあらゆる広報活動を行っている。今のPRのやり方は少々ピエロ染みているが、黙っていても外国が称賛するような国づくりを目指して国際ルールを順守しつつ、黙ってひたすら努力する謙虚な姿勢を示した方が効果的ではないだろうか。
さて、昨日またもやマレーシアの格安航空(LCC)機が離陸後その行方が分からなくなった。インドネシアのスラバヤからシンガポールへ向けて飛行中だったエア・アジア機が、積乱雲が表れて航路変更の連絡をしたまま行方を絶った。今年になってマレーシアの航空機の行方が分からなくなったのは、これで3度目である。いかにも多いという印象である。過去2度の遭難はナショナル・フラッグ・キャリアのマレーシア航空だったが、昨日行方不明となったのは徹底した格安航空会社のエア・アジアである。
偶々昨日の日経朝刊に同社のCEO、トニー・フェルナンデス氏に対する独占取材記事「エア・アジアCEOに聞く」が掲載されていた。氏は格安サービスで新たな事業に挑戦すると公言し、「非華人」「政商」として独占市場を崩すことを目的とするインド系マレーシア人起業家である。すでにビジネス市場を広げて通信、保険、ホテル業などに乗り出している。徹底したコストダウンのために、例えば格安ホテル「チューン・ホテルズ」の基本料金に含まれるのは宿泊、つまり眠るだけで、エアコンやタオルを使っても追加料金が必要というくらい徹底的に料金を落とす。エア・アジアのシンガポールへの就航に難色を示したシンガポール政府に対して新聞広告でシンガポール政府を批判したこともあるというから、確かに只者ではないだろう。今度の行方不明機の件では、結果的にシンガポールへ向かっていたエア・アジアが消息を絶ったというのは、正に皮肉でなくて何だろうか。
日本では全日空と提携話があったようだが、現在頓挫している。安全飛行志向の全日空とはどうも反りが合わないようだ。空の便は格別安全が重視されるべきであり、並はずれた格安料金によって安全性が損なわれることを全日空が避けているからだろう。安全性には疑問符がつかないことを望むばかりである。
それにしても早く不明機の行方が分かって欲しいものである。