案の定今朝の新聞は端から端まで、「イスラム国」による日本人殺害を警告する記事で溢れている。安倍首相もエルサレムでの滞在を短縮して今夕帰国し、早速官邸へ入り解決策を打ち合わせている。首相は2人の身代金は支払わないと明確に断言した。だが、フランス政府は否認しているが、以前フランス人の解放には身代金が支払われたとの噂があり、一部には尊い生命と引き換えに身代金を支払うべきか決断に悩んでいる様子が感じられないでもない。勿論テロの要求に屈することは許されないし、人質を殺害されたアメリカやイギリスとのテロ撲滅連携への配慮もあり、「イスラム国」の要求は断固はねつけるべきである。現状では厳しい選択を迫られている日本政府は、この問題をどう対処するか、最早決断までの時間がない。
ところで菅官房長官は今日の記者会見で、記者から身代金の要求が72時間以内とされているが、何時になるかと質問され、明後日の午後2時50分ごろと応えていた。しかし、この72時間というのは、3日と言う意味で昨日から明後日までという意味である。時間の長さを言っているのではない。ビザなし滞在許可72時間が3日間滞在を認めるというのは、常識的に理解されている。日本国の報道官である官房長官も、記者もこんなことを知らないのだろうか。
どうも怪しくくすんだ空が覆っているような地球上であるが、「イスラム国」の蛮行に歩調を合わせるように、昨日もうひとつ物騒な事件が起きた。アラビア半島イェメンではイスラム教シーア派系ザイード派民兵が、首都サヌアの大統領宮殿を襲撃し制圧したとされている。3年前の「アラブの春」以降政治的に不安定だったイェメンで、退陣したサレハ前大統領が復権を狙い、昨年来国内各地で進撃を開始し、昨日宮殿周辺で政府軍と衝突し国営メディアを制圧した。更に民兵は大統領私邸を襲撃し、ハディ暫定大統領の所在が不明で心配されている。このイェメンはパリの週刊誌襲撃事件の犯人たちが所属していたアルカイーダ系武装組織の拠点である。
今から47年前の1968年1月当時内戦に終止符を打ち、イギリスから独立したばかりで硝煙燻るアデン(元南イェメン人民共和国、現イェメン共和国)を訪れたが、内陸部のサヌアと異なり、港町アデンには外国船が出入りして活気が感じられたが、市内には独特の雰囲気が漂っていた。現地に足を踏み込んでみないと感じ取れない、あのカリスマ的な雰囲気の街が武装グループを育てて行くのだろうかと思うと、日本人にはなかなか理解できないのがこの地域の人々の特性である。