ギリシャがドえらいことになりそうである。一昨日実施された総選挙で、急進左派連合が与党の新民主主義党に圧勝したことにより、経済不安の懸念を増幅させることになったのである。財政不安のギリシャが選挙の結果でどういう方向へ進むことになるのか、極めて難しい選択を迫られることになった。2012年以来、再びギリシャ経済に対する不安が再燃しそうな雲行きである。
実は世界中の財務関係者が今回の投票結果を注視していた。残念ながら彼らの好まざる結果となった。ギリシャは永年に亘り不況に苦しんできた。失業率25%はEUの中でも最悪である。そのためギリシャはEUの支援を受けて緊縮財政を続けてきた。その代わりにギリシャ国民は、年金カット、増税に耐え忍んできた。だが、国民としてはこれ以上もう我慢できないところまで来ている。それが今回の総選挙で急進左派連合がばらまき経済政策のアピールによりほぼ過半数を獲得した原因である。党首のチプラス氏は、緊縮財政を求めるEUに反する最低賃金の引き上げや固定資産税の廃止などを主張している。その結果、急進左派連合の勝利により、早くもギリシャの株価は下落し、国債は売られて金利が上昇して外為市場でユーロ安が進み、ユーロ安水準となった。チプラス氏の主張は、これまで支援してきたEUに対する、謂わば居直りのようなものである。
実際ギリシャ不安説が恒常的なユーロ安になれば、ギリシャの反緊縮財政の機運がポルトガルやスペインなどほかの南欧諸国に広がって全体的にユーロ売りが強まり、その結果ヨーロッパ市場全体が経済不安を抱えることになる。それが世界経済全体の足を引っ張ることにつながることになる。
すでに首相の地位に就いたチプラス氏はEUとの話し合いに希望を託しているようだが、一方で、EU諸国の求める債務削減に対して反対するギリシャへの反発も激しい。その場合妥協が成立しなければ、最悪の場合ギリシャのEU圏離脱が現実味を帯びてくる。それどころか、ギリシャの経済破たん、所謂デフォルトの可能性さえ有りうる。
2004年にはアテネ・オリンピックを開催したほど余裕があった、このかつての王国も、古代ギリシャの3大哲学者、ソクラテス、プラトン、アリストテレスを生んだ昔日の面影はすでになく、今や崩壊の瀬戸際に立たされていると言っては言い過ぎだろうか。