4418.2019年6月17日(月) どうなる?香港の将来

 昨日も香港では激しいデモ行進があった。その目的は13日付本ブログにも書いたように、刑事事件の容疑者を中国本土に引き渡すことを可能にする「逃亡犯条例」改定に反対する意思表示である。9日のデモでは、103万人の参加者があったが、昨日はそれを遥かに上回る全香港人口の3割近い200万人近い市民が参加した。中学生も参加したようだ。中国政府が思い出したくもない30年前の天安門事件を上回る過去最大級のデモとなった。この騒ぎで交通渋滞を引き起こし、議会堂周辺をデモ隊が取り巻いたために、議会議員が建物に近寄ることが出来なくなり香港行政長官は、已むなく改正に向けた手続きを無期限に延期すると述べた。しかし、デモ隊は延期では収まらず、あくまでも法案の撤回を要求している。

 中国政府の介入と統制が強まる中で、香港の親中派行政長官は北京の意向を伺いながら政権運営しており、1997年香港返還の際、中国政府が約束した「1国2制度」と民主制度の順守が徐々に骨抜きにされている。そもそも香港の中国への返還に当たっては、香港は中国の特別行政区となることが保証された。同時に、鄧小平・中国国家主席は1国2制度を宗主国イギリスと香港に約束し、社会主義制度を2047年までの50年間採り入れないことを約束していた。その国同士の約束が守られていない現状に香港サイドには不信感と不安が募っている。

 この中国政府と香港行政府との関係を見て、一番気にしているのは台湾であろう。最近になって習近平主席は、意図的にしきりに台湾の1国2制度について触れている。台湾としては香港の二の舞だけは避けたい。台湾では中国政府の国民党への甘い囁きが親中派の気持ちを盛り上がらせている。2016年の総統選では、民進党の蔡英文党首の圧勝だった。しかし、来年の総統選を前に昨秋行われた統一地方選では民進党は敗れ、親中国派はほくそ笑んでいた。蔡英文総統は一時辞任を表明した。この蔡英文総統はアメリカ寄りで中国とは一線を画している。国民党の巻き返しなるか。中国を非難する香港のデモは蔡英文総統、及び民進党に流れを引き寄せたと見られている。

 一般的に中国が絡むと問題は複雑になる。果たして台湾総統選にこの香港のデモはどのような影響が及ぶだろうか。

2019年6月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com