「イスラム国」人質問題が膠着状態だった今朝、突然事態が急転回した。今朝早くテレビが、「イスラム国」が日本政府に宛てた‘A MESSAGE TO THE GOVERNMENT OF JAPAN’のテロップの直後に、人質の後藤健二さんが川岸で手にナイフを持った黒装束の男に跪かされているインターネット上の画像を放映した。そしてその直後に後藤さんが殺害された襲撃的なシーンが公開されたと伝えた。日本政府も後藤さんの死をほぼ認めている。残虐なことをするなぁとの思いと同時に、実に残念でならない。今日は夕刊休刊日のため、ターミナル駅周辺では号外が配布され大きな関心を呼んでいた。テレビ局は朝から臨時番組を組んで、得られる情報を精一杯伝えていた。
結局日本人人質問題は2人が殺害されるという最悪の結果のうちに幕を下ろすことになった。だが、一方で依然としてヨルダンが解放を求めているヨルダン人パイロットの消息は不明である。識者はほとんど、現在パイロットに関する情報がまったくもたらされないので、パイロット生存の可能性も少ないとの見立てである。
この極悪非道な行為に対して、オバマ米大統領、キャメロン英首相、潘基文・国連事務総長らを始めとして、世界中から「イスラム国」へ手厳しい非難の声がぶつけられている。ヨルダン政府と水面下で交渉をしていた日本政府もショックを隠せず、安倍首相は「イスラム国」の傍若無人な暴挙に対して涙を滲ませながらこれを断固非難した。
それにしても「イスラム国」の日本政府への乱暴なメッセージは、一方的で言いたい放題であり、日本国民、否世界に対する挑戦でもある。今後「イスラム国」軍隊は日本人を見つけ次第殺すとはあまりにも傲慢にして非人道的であり、反社会的である。とても特定の宗教に帰依した者の言動とは思えない。
これから事態はどういう方向へ進むのか。すでに日本人2人が犠牲となっている。日本としてはこの「イスラム国」問題をこれまでのように対岸の火災視しているわけにはいかなくなった。かつてなかった想像を絶する難問である。
さて、朝刊を見ていてある記事に目が留った。「第66回読売文学賞」受賞者の発表である。随筆・紀行部門には、何と昨日当ブログに紹介したセルビアの友人・山崎洋さんの奥さん・山崎佳代子さんが選出されたのである。2月20日に在日セルビア大使館で佳代子さんが表彰されるというのは、このことだったのだろうか。とにかく吉報である。受賞作は「ベオグラード日誌」で、詩人らしい彼女の感性溢れる視点から、セルビアの首都ベオグラードの社会風景と日常生活を描かれたのだろうと推察する。早速ベオグラードの山崎さんへ祝福のメールを送信した。
今回の「読売文学賞」については、評論・伝記部門で受賞された「ある文人学者の肖像・富士川英郎」を書いた英郎氏の子息・富士川義之氏についても思い当たる節がある。彼は湘南高1年生時にクラスメートだった人だと思う。その後他校へ転向したのか、卒業時には在学していなかった。1年生当時から格別な付き合いはなかったが、名前だけはよく覚えていた。父上が東大の先生だったと聞いていたし、実際東大教授となり、子息も父上の後を継ぐように東大教授になった。現在は日本英文学会会長の要職にあるという。父子ともに読売文学賞を受賞されるというのは素晴らしいことだと思うし、極めて珍しいそうである。
それにしても偶々多少ご縁のある2人が、分野が異なるとは言え権威ある文学賞を同時に受賞されたことに驚いている。偶然が重なるということも、あるものだなぁと感慨深く思っている。