2823.2015年2月4日(水) 「イスラム国」の残虐行為に打つ手なしか。

 「イスラム国」の過剰な蛮行が「イスラム国」側の公開画像によってまた明らかになった。人質事件で取引の材料とされていたヨルダン人パイロット・カサースベ中尉がすでに1カ月前に殺害されていたことが判明したのである。しかもヨルダン政府はいち早くその事実を把握していたという想定外のことが分かった。考えてみれば、人質交換要員とされた件の中尉と、拘束されているリシャウィ死刑囚、そして後藤健二さんの3人の内、解放のための交渉過程で、すでに中尉が亡くなっていたことが日本サイドに分かっていれば、事態の行方は別の方向を辿ったとも考えられる。ヨルダン政府の事前了解を得る必要があるにしても、中尉の解放に拘ることなく、「イスラム国」が要求した後藤さんとリシャウィ死刑囚交換話を進めて、2人の生命が救われた可能性がないとも言えない。勿論ヨルダン政府の好意が大きな精神的な助けになっていたことはある。

 それらを斟酌したうえでなお、ヨルダン政府の交渉のやり方に是々非々の意見があるようだ。そのひとつに、カードの切り方を間違えてむざむざ後藤さんを死地へ追いやったのではないかという意見がある。

 パイロットを殺害した「イスラム国」の残酷な点は、銃を構えた「イスラム国」軍戦闘員に取り囲まれた中でカサースベ中尉を有志連合軍機が空襲攻撃した地を歩かせた後に、檻に押し込んで火を点け焼き殺した残虐さである。イスラム教の教えでは人に火を点けて殺すことは決して許されないそうだ。この異常な画像に興奮したヨルダンは、仕返しに直ちにリシャウィ死刑囚ともうひとりの死刑囚を絞首刑に処した。とても国際平和を志向する現代社会のでき事とは思えない。

 この凶行が明るみになった今日ヨルダンのアブドラ国王は偶々訪米中で、オバマ大統領と会見し、大統領から「イスラム国」を非難し、打倒する強い決意を示された。今開催中の日本の国会でも邦人救出のための自衛隊派遣について議論が戦わされている。

 しかし、正体の掴めない「イスラム国」を、アメリカ始め有志連合各国はどうやって打倒するのか。空爆では少しは効果を挙げているようだが、有志連合軍のいない地上では、相変わらず「イスラム国」は暴れまわっている。「イスラム国」打倒を叫ぶアメリカは、すでに地上軍を撤退させ、空爆に頼りきりである。このことが「イスラム国」が生まれた遠因とも言われている。アメリカ国内には、犠牲者が増える地上部隊を外国の戦線へ送りこむことには消極的な声が多い。現状では具体的に「イスラム国」を壊滅させる妙案はないようである。

 このままでは「イスラム国」のやりたい放題思うがまま、やられっ放しということにならないだろうか。

2015年2月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com