4274.2019年1月25日(金) ベネズエラ独裁政治下の経済不況と混乱

 政情があまり安定していない南米諸国の中でも最近とかく不穏な空気が伝えられていたベネズエラで、強権を揮っていたマドゥロ大統領に対して、グアイド国会議長が暫定大統領への就任を宣誓した。異常な行動である。だが、これまでマドウロ大統領の言動に辟易していたトランプ大統領がこれを承認した。これに続いてカナダ、ブラジルなど米州諸国も追随して承認した。これに対して、ロシアと中国はマドゥロ氏を大統領として承認している。

 ベネズエラはチャベス前大統領が長年に亘って専制君主として君臨し、その後を引き継いだマドゥロ氏も強い権力を行使したが、経済運営の失敗から昨年のインフレ率は想像を超える169万%という驚くべき値上がりぶりだった。10年ほど前にジンバブエで起きた500億%というハイパーインフレ以来の自国通貨の下落ぶりである。世界最大の原油埋蔵量がありながら原油価格の下落で財政が悪化し、経済危機に追い込まれた。2015年以降人口の10%に当たる300万人もの人々がベネズエラから国外へ逃れ、今後も脱出者は増えるだろうと推定されている。

 マドゥロ大統領は、グアイド氏の行動はアメリカによるクーデターであると決めつけ、ベネズエラ在住のアメリカ人外交官に国外退去を迫るなど対抗意識を強硬に示している。しかし、アメリカ及び中南米諸国の支援なしに、ベネズエラが発展することは極めて難しい。何故ベネズエラではこれほど強硬派人物が天下を獲ることが出来るのだろうか。

 学生時代アルペンクラブの友人の父親が、その当時駐ベネズエラ大使を務めていたので、ベネズエラに特別の関心を抱くようになった。その後父上のお世話をいただいて当時旅行界では未知の分野だったビルマ(現ミヤンマー)への戦跡巡拝団を企画することが出来た。そういう意味では恩人である。父上から直接ベネズエラの話は伺ったことはないが、一度はベネズエラに行ってみたいと思っていたものである。それがこれほど貧しい国になってしまい、国民が他国へ逃げ出すほどの酷い国になってしまったとはとても考えられないことである。

 それにしても豊かな国になるチャンスがありながら、支配者次第で貧しい国になることもあり得る。頭の中にあるイメージと、現実のベネズエラの格差に戸惑うばかりである。能力と資格がない人物がリーダーになるとその国民が不幸になることを象徴したのが今のベネズエラである。

2019年1月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com