4272.2019年1月23日(水) 身勝手なロシアを相手に先行き暗い日ロ関係

 昨日モスクワで安倍首相とプーチン大統領の首脳会談が行われた。両者の会談は22回目で最近3カ月連続である。それだけロシアにとっても日本にとっても大事な日ロ関係である。だが、最近両国間の関係はあまりスムーズとは言えない。

 最大の課題は日本にとっては北方4島返還問題であるが、ロシア側とすれば欧米と対立している現状から日本との関係、それも優位な立場を維持したく、課題である日ロ平和条約を締結し、日本から大型投資を期待していることである。1956年日ソ共同宣言で歯舞、色丹2島を日ロ平和条約締結後に当時のソ連が日本に返還するとされていた。日本としては、2島ではなくあくまで他の択捉、国後を合わせた4島返還を平和条約締結後に交渉し、最終的には4島返還を実現することを考えていた。

 ところが、ロシアはこれまでの話し合いの過程で少しずつ覇権主義的本音を表し、最近ではロシア世論までもが4島はロシアの領土だと強く言い出している。彼らの言い分は、北方4島は第2次世界大戦の結果、合法的にロシアに編入されたものだと言うのである。しかし、このロシア側の主張は自分たちの身勝手な希望であり、完全に間違っている。日本がポツダム宣言を受け入れ全面降伏して終戦を迎えたのは、1945年8月15日である。旧ソ連軍が日本の北方4島に強引に上陸し、島を占領したのは日本が白旗を掲げてから1ヶ月も経過した後である。そこには合法性なんてまったくない。要するにロシアは土足で乗り込んできて、ここは自分たちの土地、領土であるから出て行けと一方的に宣言しているに過ぎない。交渉上難しいことではあるが、この両国の交渉で最も重要な歴史認識がまるで別次元なのである。

 2島返還のペースで臨んできた安倍首相には、ロシアが残りの2島を返還する気持ちがないことは余り大したことではなく、歯舞、色丹の2島返還に拘るのも自らの実績を上げるためだけのスタンスなのである。それも足元を見られたロシア側のペースになり、今やそれさえ風前の灯火となってきた。したたかさ、というよりずる狡い騙し討ちだけが外交テクニックのロシアは、日本の言い分をまったく受け入れないばかりか、次第に要求が過大になっている。島は返還しても主権は引き渡さないような発言があったり、返還後の島内に米軍基地が配備される恐れがあるか、イチャモンをつけるばかりなのである。北方4島返還、平和条約締結、日ロ経済交流という基本線を動かすことなくいくら時間がかかっても相手に煩わされることなく、地道に交渉する以外、今日の日ロ交渉には解決へのゲートウェイは見つからないということを日本は認識すべきであると思う。

2019年1月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com