4245.2018年12月27日(木) 日本、国際捕鯨委員会から脱退

 このところ世界的に株価が下がっているが、日経平均もご多分に漏れず下がりっぱなしだった。昨日まで5日間も下げ続いた反動から今日漸く持ち直し、日経平均株価は750円も値上げして20,077円となり、何とか20,000円台に戻った。

 こんな経済的に混乱している時に日本政府は、国際捕鯨委員会(IWC)から来年6月を期して脱退することを発表した。これにより7月より日本の排他的経済水域(EEZ)内で約30年ぶりに商業捕鯨を再開することになる。ここに至る経緯について、多くの疑問が呈されている。鯨の保護のために窮屈な行動をさせられては来たが、ここで一転して捕鯨産業の秩序ある発展を目的とするというIWCから脱退し、日本独自の南極海における調査捕鯨を止めることまで行って大丈夫なのかとの疑問と不審感が湧いてくる。

 国際協調主義を掲げる日本が、主張が認められないからとの理由で国際機関から脱退するのは、極めて異例である。反捕鯨国のオーストラリアを始め各国から反発を浴び、今後厳しい目で見られ、来年6月大阪で予定されているG20サミットや、2020年東京オリンピックへの影響も懸念されている。

 この裏には、鯨の街と言われる、和歌山県太地町に近い自民党二階俊博幹事長出身の御坊市や、安倍首相の選挙区に近い捕鯨業の地元・下関からIWCへの反発が強いと言われていた。まさかとは思うが、政府の決断がこの辺りを忖度するようなことはないと信じたい。日本が30年間も調査捕鯨などで我慢していた態度を豹変させた背景の割には、国会でろくに議論もされず、国民への説明も乏しく、大事なことを決めるには些か先を急ぎ過ぎているように思う。日本人の鯨離れはこの30年間にどんどん進んでいる。こんな時世に拙速な結論で折角築いてきた日本の国際的信頼が大きく揺らぐことになっては、国際社会における地位が弱くなるのではないかと心配する。

 さて、もうひとつ日本にとって厄介な問題がある。日本原子力研究開発機構は、昨日高速増殖原型炉「もんじゅ」など原子力関連の79施設の廃止費用が、1兆9千億円に上るとの試算を発表した。これに施設の維持費や核物質の処理費は含まれておらず、実際には数千億円規模で費用が膨らむとの見通しである。現在廃止が検討されている施設は、60~70年かけて順次廃止していくわけだが、今後更に費用がかさむことが考えられる。浮世ばなれしているのは、機構の年間予算は国からの交付金などで総額1800億円だという。これで一体どうやって関連施設を廃止していくのだろうか。

 今に始まったことではないが、毎度のことながら政治家の無思慮、浅薄さと無責任にはがっかりである。

2018年12月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com