4237.2018年12月19日(水) 最近40年間の中国経済の目覚ましい発展

 昨日北京の人民大会堂中国改革解放40周年を記念する式典が開催され、習近平国家主席は1978年以来この40年間で世界第2位の経済大国を築き上げた成果を自信たっぷりに語った。今後もこの路線を突き進む決意述べた。鄧小平主席が社会主義改革の中でも余裕のある限り自由経済も力を注ぐとしてスタートした疑似社会主義的自由経済政策が成功を収めた形ではあるが、習主席としてはあくまで自らが打ち出した政策の正しさをアピールして、あまり鄧小平が緒を付けたパイオニアの功績に触れることまではしなかったらしい。

 中国経済の発展は、確かに目覚ましく、特にIT分野の世界市場における発展にはアメリカが脅威を抱き、米中間で衝突の可能性のあるひとつの事象になっている。それが最近のファーウェイ問題のような軋轢にもなっている。実際この40年間に中国の世界経済に占めるGDP比は8.4倍に伸び、世界GDP市場の15.2%を占めるまでになっている。貿易総額は199倍に増えた。ただ、中国は人口が多いため、総額では圧倒的なGDP生産を誇るが、1人当たりの国民総所得で比較すれば今以て後進国の仲間である。それを世界第2位だと自画自賛する中国の言い分が世界の人々から素直に受け入れられているわけではない。例えば2014年の国際比較をみると1人当たりの所得では中国は19位にしか過ぎない。日本の1人当たり所得に比べても約5分の1である。南米諸国の中でも中国を上回る国は5か国を数える。

 中国政府としては、農村部に多くの貧しい農民がいることを国内外に知らしめず、共産党指導部の威信を強め中央集権体制を固めるために、民主化運動を弾圧し言論の自由を抑圧し、マイナス面をすべて隠したまま習指導部は自らが勝ちえた圧倒的な権力と人事統制の下に、経済も政治も発展していることを国民に啓発することによって国民の不満を抑え、世界に冠たる中華国家が永遠に繁栄するとのメッセージを内外に発信しているのだ。

 しかし、このまま現在の急速な発展が続くのかと問われれば、問題ありと答えざるを得ない。第1に「中華人民共和国」という国名がとても現実的とは思えない。社会主義を標榜しているが、中国は断じて社会主義国家ではない。共産党1党独裁支配体制ですべての権限が共産党に一極集中されていること自体、社会主義のイデオロギーに反する。「口では社会主義、実態は独裁国家」というのが本当のところである。

 国民から自由を奪い、国家主導で発展を続けていけるというのは、確かにすごいと思う。むしろ空恐ろしい気がする。しかし、このまま行くといつか抑え込まれた民主化運動を装ったグループが暴発しないとも限らない。この中国の独裁支配体制がいつまで続くかということは世界にとってもどうにも気になるところである。

2018年12月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com