4187.2018年10月30日(火) アフリカから湖が消える。

 大分以前からカザフスタンとウズベキスタンに面している、内陸湖アラル海の湖面面積が小さくなり、同時に乱獲による生態系資源の枯渇が問題視されてから久しい。アラル海はかつて世界で4番目の大きさを誇っていたが、今ではそれも5千分の1にまで小さくなってしまった。空から見た写真ではほとんど湖面が見えないくらい小さくなってしまった。その原因は主に地球温暖化などが考えられるが、人災という声も聴かれる。

 今日アフリカ大陸でも多くの湖が、同じ地球温暖化による原因で干上がって湖面が下がり、消滅しつつあるところが多い。特に国際機関や環境学者が心配しているのは、チャドやナイジェリアなどに臨むチャド湖、ケニアのトゥルカナ湖、同じケニアのヴィクトリア湖などである。湖水面積が小さくなったのは地球温暖化により降水が大幅に減ったことが最大の原因であるが、それぞれ人災と言える原因を含んでいる。チャド湖のケースでは、1960年代の湖水面積が今ではその10%程度にまで縮小た。沿岸4か国の住民が水産資源と農業のため湖畔周辺に大量に移住して汚水を大量に流した末に、成果がなく極貧に陥って、そこを「ボコ・ハラム」というテロ組織にけ込まれ、地域、住民が徹底的に痛めつけられたことが大きい。

 トゥルカナ湖の場合は、水源のオモ川上流でエチオピアが2006年以来続けているアフリカで最高の高さを誇るダム建設の影響により水が減り、ダム完成後には一挙に干上がると推定されている。

 ヴィクトリア湖の落日も寂しい。40年以上も昔ナイロビから車で湖へ向かい、その途上赤道の手前で車から降りて歩いて赤道を越えたことがある。そして、突然のように群がる紅色のフラミンゴの群れが目に入ってきた時は、感激したものである。そのヴィクトリア湖が乱獲競争の挙句に漁業資源が顕著に減少して、資源枯渇が進むという悪循環に陥っているという。

 こういう人災については、各国でもあまり資金を投じて建設的な支援がなされない。国際機関もメリットがあまりないだけに、各国に資金的援助を言い出せないでいる。こうしてアフリカから湖は次第に姿を消し、アフリカは益々殺伐とした大地との印象が強まり、住民は彷徨うばかりである。資金を援助してもすぐ見返りが見込めない現状では、各国はアフリカの湖水消滅救助、生態系資源枯渇防止のためには支援しようとしない。国際社会が突き付けられた課題である。

2018年10月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com