4184.2018年10月27日(土) 安田純平さんの行動は100%自己責任か。

 日本国内でまた新たな話題が俎上に乗っている。このほどシリアの武装組織から解放されたフリー・ジャーナリスト安田純平さんに対する自己責任論である。危険地域取材を規制する政府の方針を無視してシリアへ入り、その挙句身柄を3年余に亘って拘束され、一昨日帰国した安田さんの行動に対する非難である。日本政府が身代金を支払ったかどうかは不明だが、身勝手な行動としてNETでは安田さんへ厳しい声がある。中でも身代金を支払ったとすれば、それは国民の税金から拠出されるものだと批判的な意見が多いようだ。

 確かにそういう指摘は理解出来ないこともないが、もし安田さんのようなフリー・ジャーナリストがいなくなったら、戦場など危険な地域における臨場感溢れる真実の報道は誰が行うのか。彼らフリー・ジャーナリストが得た情報を何らかの方法で報道してくれるので、読者、言い換えれば国民は真実を知ることが出来る。また、こうも言える。フリー・ジャーナリストが命懸けでリスキーな現場へ飛び込んで真実を伝えてくれるから、国民はありのままの事実を知ることが出来て、政府としても広角的な対策を取ることが出来る。NET情報だけに頼っている人ですら、フリー・ジャーナリストから得た情報によって知識を広げることが出来ているのである。

 確かに身代金は重い問題であるが、一概にお金の件だけで、勇気ある彼らの行動にブレーキをかけるのは、「報道の自由」、「言論の自由」をも否定することにもなりかねないのではないだろうか。

 さて、アメリカでオバマ前大統領や、クリントン元大統領ら民主党実力者に危険な不審物が郵送され、FBIや捜査関係者が必死に捜査を続けていたが、昨日共和党支持者の容疑者が拘束された。これについて感想を尋ねられたトランプ大統領は、容疑者を責める発言は一切せず、むしろこの原因を作ったのはフェイク・ニュースを流したメディアであり、彼らに責任があると見当違いの受け答えをしている。共和党支持者である容疑者を責めることなく、事件とは無関係なメディアに責任を押し付けて彼らを非難するとは、筋違いも甚だしいと思う。

 こういうバランス感覚を欠いた利己主義者が国家のリーダーであることが、結局その国を貶めることになるばかりか、国民に恥をかかせることにつながる。トランプ氏が大統領であることによってどれほど多くのアメリカ国民が傷つき国際的にマイナス・イメージを負っているか、本人はまったく気が付いていない。とりわけそのトランプ氏をおだてあげ、自由気ままな言動に走らせているのが、ほかならぬ熱心な共和党支持者である。これほど破廉恥で自らのためにだけしか行動しない大統領をアメリカ国民はどう思っているのだろうか。

 今アメリカへ入国しようと母国を脱出し、メキシコ国内を北上中の6千人規模の貧しい「移民キャラバン」ホンジュラスの人々が、アメリカ国境に着いたらトランプ大統領は入国を認めないと米軍部隊を国境周辺に派遣し監視を怠らないようだが、民族移動のようにひたすらアメリカ目指して歩き続けるグループを国境でリターンさせることが出来るだろうか。

 

2018年10月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com