4159.2018年10月2日(火) 元横綱貴乃花、日本相撲協会を退職

 昨年九州場所で暴力事件を引き起こした横綱日馬富士が引退することになって以来、何かと元横綱貴乃花親方の周辺は騒がしくなった。それが昨日貴乃花親方の日本相撲協会退職という厳しい現実を以て幕引きになりそうである。横綱引退後も勝負検査役、理事として相撲界に貢献する一方で、一代年寄として貴乃花部屋を創設し運営して3人の幕内力士を育て上げた。多くのファンが声援を送り、一世を風靡した平成の大横綱としては実に悲劇的な相撲人生の終末である。

 これには、外からは窺い知れない相撲協会の閉鎖的な組織、封建的な上下関係、保守性もあるが、他方で貴乃花自身の人柄や性格、個性が相撲協会と衝突するケースが多かったことが影響している。昨年九州場所の暴力事件では、相撲協会の理事でありながらその経緯を協会に話さずに、警察に届けるという組織人としては考えられない自分本位の行動があった。外部からの問い合わせには頑なに応えようとせず、一部に顰蹙を買っていたこともある。外部に開かれた相撲協会の体質を追求してはいたが、協会とは一切話し合う気持ちもないようで、理事会などにも無断で欠席することが多かったようだし、協会が出席するよう要求しても身勝手に拒絶したり、凡そ組織内で重責を担う役員としての自覚が欠如していたようだ。

 今回の件でも両者が話し合いすることもなく、お互いに相手の言動を非難しあう後味の悪い決着となってしまった。

 貴乃花親方にはもう少し大人として、また組織人として自分自身の主張だけを貫こうとせず、他人の意見を聞く懐の深い気持ちがあれば、こういう最悪の結論にはならなかっただろうと惜しまれる。これから貴乃花がどういう余生を送るのか分からないが、協会とは喧嘩別れをして後へは戻れない印象を与えたことは拭えない。相撲協会の閉鎖性もさることながら、貴乃花の独り相撲がこういう事態を招いてしまった。哀れなのは、千賀ノ浦親方に引き取られる力士8人ら10人の部屋付きの弟子たちである。

 実は、貴乃花は次男と同じ中学の1年上級生だった。在学中から父親が先代貴ノ花だったために目立った生徒だった。卒業後角界入りしたが、抜群の相撲技量はともかくもう少し人間的に成長して欲しかったというのが、偽らざる気持ちである。

2018年10月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com