一昨日から北京で中国とアフリカ諸国が関係強化について話し合う「中国アフリカ協力フォーラム」が開かれ、53か国が参加している。
中国のアフリカ向き援助というと、ついあれこれ考え込んでしまう。中国は他の先進国に真似出来ないような資金とドラスチックな人材投資のおかげで、アフリカ市場に圧倒的な拠点を築いているからである。問題はこのやり方がアフリカ諸国に本当の意味で貢献しているのかということと、アフリカの人材育成、雇用拡大の面で必ずしも効果的ではないのではないかという点で首を傾げざるを得ない。例えば、建物の建設援助については現地の労働者に中国人指導者が技術指導するのではなく、労働者まで中国から連れて来て現地人を雇用しないケースがあることである。
加えて資金面では無償援助もあるが、ほぼ4分の3が有償援助でその借款を苦しい財政のアフリカ諸国が期限内に返済出来ないケースがあることである。
巨額プロジェクトの中には、必ずしも必要なインフラ整備に充当するようなものでなく、支援物件に押しつけがましい名前を書き込んで中国をアピールしているのが多い。特に中国の強い要望「目に見える援助」に拘っている。これまでに中国が行った主要なプロジェクト6つのうち、その4つはスポーツ施設、競技場の建設であるが、これらが貧しいアフリカにとって緊急に必要なものだろうか。残りの2つはいずれも長距離鉄道建設で、ひとつは、ケニアのナイロビ・モンバサ間480㎞の鉄道建設であるが、今からちょうど半世紀前にナイロビから夜行寝台でモンバサまで行ったことがある。その時イギリス製の鉄道施設は悪いものではないと思った。今敢えて同じ鉄道路線を作る意味はあるだろうか。どうも無駄なような気がしている。
もうひとつのプロジェクトも鉄道建設で、何とエチオピアの首都アジスアベバから隣国ジブチ間全長750㎞の巨大なプロジェクトだった。これには中国人駅員まで配属されて旅客案内を務めている状態である。まるで中国の鉄道である。それだけの利用客がいるなら、これは大きな援助と言えるかも知れない。しかし、これでは中国政府はエチオピアに対して庇も母屋も貸した挙句、すべてを手に入れたという印象である。かつてアジスアベバからジブチまでプロペラ機で飛んだことがあるが、ずっと砂漠上空を飛んでいた。そんな環境下で果たしてこの鉄道敷設がどれほど国民の期待に応えているだろうか。
とにかく中国の援助攻勢はけた外れの規模で、目くらませを噛ませられていたアフリカ諸国が気が付いたころには、抜き差しならぬ状態になっているのがオチである。これほど派手な支援を真似出来ないアメリカは「中国式支援は各国の主権を弱め、長期的な成長を阻む」と言ってみたり、イギリスBBCは「巨額債務はアフリカ諸国を窒息させる」と指摘しているが、犬の遠吠えにしか聞こえない。
今のままで行ったら世界の覇権地図はどうなってしまうだろうか。