4122.2018年8月26日(日) アジア大会マラソンを観てインドネシアを考える。

 競技もたけなわのアジア大会で昨日男子マラソンに出場した中村大仁選手が、日本人選手として32年ぶりに優勝した。男子に続いて、今日は朝から女子マラソンが行われると知り、久し振りにテレビ中継画面からジャカルタ市街の様子を知りたいとレースを懐かしい気持ちで観戦していた。結果は昨年の世界陸上選手権で優勝したバーレーンのチェリモ選手が優勝し、32歳の野上恵子選手が銀メダルを獲得した。

 ジャカルタと言えば、1966年暮れから年始にかけて初めて訪れたが、その時白昼堂々後ろからついてきた若者に背後から襲われ一瞬にして腕時計を奪われた。海外で一番最初に嫌な体験をした土地である。当時宿泊したホテル・インドネシアらしい建物の前をランナーは通過したが、同ホテルかどうかは確認出来なかった。テレビでは選手を追うカメラと上空からヘリコプターによる画像でスタジアムと折り返し点を往復するルートをカメラが追いかけた。半世紀以上も経過すると随分変わるものである。道路周辺は椰子並木に覆われ緑が多いのが目についた。あの頃は椰子の木が点在する程度だったと思う。当時の面影をまさぐるようにしてテレビ画面をじっと観ていた。緑と言えば、ホテル・インドネシアの窓から見下ろしたヤシの木は当時南洋的な景色として新鮮で、いたく感動したものだが、カメラが横から、また上から撮っても市内にこれほど樹木があるとは実に意外だった。道路も随分整備された。半世紀前はホテルのガードマンから歩道橋を渡ったら、狙っている悪い奴らに両端の階段から挟み撃ちされ襲われるから絶対登らないようにと驚くような警告を受けた。その歩道橋もかなり多く見られた。とにかく高層ビルがやたらに目についた。いやしくも1国の首都でもあるので、ビルが林立するのは今日では至極当然であるが、インドネシアは今も昔も経済的には随分立ち遅れているだけに、ジャカルタが大都会に変貌したその姿にはただ驚くばかりである。以前は見たこともなかった高速道路らしい片側3車線の立派な道路も目を瞠るばかりだった。

 しかし、インドネシアは経済的に苦しい。経済は他のアジア諸国に比べてもかなり立ち遅れている。高速道路はゼロに等しく、道路舗装率も低く、テレビで観る立派な道路は首都の中心街であるから当然だと納得させるしかない。世界国勢統計表で調べても、社会保障・福祉関係の歳出はアフリカ諸国に比べても少なく、世界でもインドに次ぎ、テロがはびこるアフガニスタンと肩を並べるくらいである。やはり貧しい国であると分かるが、それなら一旦はアジア大会開催が決まったベトナムが財政的に苦しいからと返上した、アジア大会開催を敢えて引き受けたのはどういう腹積もりなのだろうか。

 懐旧に駆られテレビを観ていて、インドネシアについていろいろ考えさせられたアジア大会マラソンレースだった。

2018年8月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com