4115.2018年8月19日(日) トルコの株価下落が与える国際的影響

 このところ株価が大きく下がり続けたが、その主なる原因はトルコ・リラの下落によるものである。トルコ・リラの対米㌦相場の下落は3月ごろから顕著になり、5月にアメリカの金利上昇の影響を受け、8月にはアメリカの対トルコの追加関税表明でリラ売りが加速し、現在年初に比べて約40%も下がっているというから国民生活にも相当影響が表れていると思う。実際対前年同月比の消費者物価上昇率は3月に10.23%だったが、7月には15.85%にまで達している。

 そこへ一昨日アメリカの格付け大手会社が、トルコ国債を1段階引き下げた。リラ急落により経済悪化が財政面にも悪影響を与えると判断された。消費や民間投資が抑えられ実質の経済成長率が2017年には7.4%だったものが、19年にはマイナス0.5%にまで悪化すると予想されている。対米㌦外貨レートは、1月には1㌦=3.5リラだったものが、1週間前には1㌦=7.2リラの過去最安値レベルにまで下がっている。

 事の発端は、イランと同様に対米外交関係が円滑ではなかったトルコが、トランプ大統領がトルコに求めたテロ組織支援などの罪で長期拘束しているアメリカ人牧師の釈放を認めなかったことで、アメリカが報復的に関税引き上げなどで圧力を強めたことにある。物価上昇などに困惑する国民からは、指導者同士で早く解決して欲しいとの声が強いが、問題はメディアが動かないことである。

 これには思い当たることがある。一昨年7月反政府クーデター未遂事件以来非常事態宣言下のトルコで報道機関に対する政府の圧力が強まったことである。メディアのほとんどが今や政権寄りと言われ、ごく最近ドル高に誘導する作り話を広めて経済の安定を脅かしたと政府がメディア346カ所を対象に捜査を始めたと言われるほどである。今やエルドアン政権に歯向かうものはおらず、エルドアン政権の強権化は加速するばかりで、リラの下落はこのままどこまで落ち込むのか予測がつかない。

 今ではリラを買い支えようと民間が、米㌦をリラに両替したら無料でお土産を提供するようなキャンペーンまで行っている。改善の兆候が見えなければ、リラは益々下落し、株価も不安定となって世界経済にも大きな影響を与えるような事態になるのではないかと懸念される。

2018年8月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com