4098.2018年8月2日(木) 習近平・中国国家主席独裁体制に綻び

 先月末中国事情に詳しい高校時代の友人が、近々「北戴河会議」が始まるが、最近独裁体制を固めつつある習近平・国家主席の名前やスローガンが街から消えているようで、必ずしも習体制は盤石ではないらしいと電話で知らせてくれた。

 今年3月に全人代で自らが務める国家主席について2期10年の任期制限を無制限にする提案をして、賛成2958票、反対僅か2票の圧倒的多数の賛成により中華人民共和国憲法を改正し、終身国家主席の地位を確立した。これで習主席は、自らの思想を盛り込み核心体制を確立して独裁体制の足場を固めたのである。

 その存在感と影響力は国際的にも大きく、伸び行く中国経済の発展もあってリーダー習近平の権威とパワーは強化されたと内外に思われていた。

 それ故しばらくの間急にはそんなドラスチックな空気にはならないだろうと半信半疑でいたところ、昨日の産経新聞一面「カタ」に「中国看板 消えた『習近平』」と大きな記事で現実に毎年夏開かれる河北省北戴河で中国共産党幹部や、引退した長老、有識者が参加する「北戴河会議」を前に、市街には習近平の名前が見られない異常な事態になっているという。

 これだけに留まらず、月刊誌「選択」今月号には「『習近平独裁』に長老たちの反旗」と題する2頁に亘る解説が掲載されている。自分たちにとって都合の悪い文脈を封印し排除する現代中国の「言論封殺」を知る我々にとって、現代中国の「鉄のカーテン」が綻び、これほどの不都合な情報が流出するとは思いがけないことだった。同誌副題には、「一強指導部に批判噴出の異常事態」と書かれ、7月になってから習総書記を批判する3つの事件①墨汁事件、②書簡事件、③新華社事件が連続して起き、大きな波紋を広げたため、習指導部は急遽個人崇拝宣伝を中止させ、マイナス面の影響を抑えようとした。①墨汁事件とは、上海で女性が独裁暴政に反対と叫びながら、習近平のポスターに墨汁をかけた動画がネットにアップされたことで、②書簡事件とは、江沢民、胡錦涛、朱鎔基、温家宝ら党長老らが連名で「アメリカとの貿易摩擦の拡大を全力で阻止すべき」と習指導部の政策などを批判した手紙を党中央に送付したことであり、③新華社事件とは、華国鋒が間違いを認めたという古い記事を再掲載して習氏を暗に批判した事件である。

 それではネットでは、この習国家主席への批判につき、どう取り扱われているかと調べたら、同じような内容の解説や質問がかなり見られた。質疑応答では、習失脚の可能性までアップされていて、その可能性はなくはなく、あるとすれば交通事故に見立てた暗殺の可能性があるとまで書かれていた。

 外から見れば、絶対的体制固めをして終身独裁を誇っているかに見えるが、近代社会でこんなことはいつまで続くわけがない。改めて絶対独裁体制というものを考えさせられた。

2018年8月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com