4089.2018年7月24日(火) ロシアでも今や評価されないロシア革命

 連日の暑さに日本中が疲れ切っているところだが、2年後の今日東京オリンピックが始まる。

 さて、1917年世界を揺るがしたロシア革命から昨年はちょうど100周年に当たっていた。それ以前には考えられもしなかった世界革命が現実に実現し、資本主義経済だけが国を建設し、民を養い、国家の骨格になると考えられていたそれまでの世界観をひっくり返したのである。以後レーニンによるソビエト連邦社会主義国家は、マルクス経済学を理想として導入し、その後中国の社会主義化により、社会主義国家旋風は20世紀の世界を席巻した。多くの独り立ちできない未成熟な国々を社会主義国家の同盟国と呼び相互扶助をアピールすることによって彼らを覇権国家ソ連の勢力下に押し込み、英米の利を追求する利己的な資本主義国家体制に対して、富を平等に配分する計画経済を主唱する社会主義国家体制を宣言し構築した。それが結果的に経済面のみならず、政治的にも東西の冷戦を招来し助長することになった。

 しかしながら、スターリンの冷血なる国家管理体制、及びその後の毛沢東・中国共産党国家体制は歴史に大きな足跡を残したとは言え、国民を社会主義の名の下に理想的な平等社会を構築したとは言えない。

 現実にソ連が革命を経て作り上げた社会主義体制は、マルクス・エンゲルスが望んだ社会主義国家建設とは大きく乖離したものとなった。

 それはある面で今日のロシアにおいて、社会主義国家体制のスタートとなったレーニン時代の名残がどんどん薄れている点でも推測出来る。レニングラードはサンクトベテルブルグと名を変え、スターリングラードはヴォルゴグラードとその名を変えた。今年のロシア革命記念日でもモスクワ赤の広場のパレードは革命色がまったく見られず、テレビ中継もされなかった。血にまみれた共産党独裁のイメージが現政権にとっても目障りとなり歓迎されなくなったようだ。昨年ヘルシンキの空港売店でロシア革命100周年を記念する写真集を購入した。だが、実際に現在のロシアでは革命は歴史の彼方へ押し流されつつある。最近では、あまり喜ぶべき史実とは考えられていない空気を感じる。

 ロマノフ王朝が倒れたことによってロシア革命は成功した。そのロマノフ王朝14世皇帝ニコライ2世一家11名が捕らえられ、それぞれが残虐に処刑されたのは翌1918年7月17日のことである。今日から数えて100年と1週間前の出来事である。また、ロシア正教会がニコライ2世一家を列聖としたのである。ロシア政府の立場は微妙なものとなった。一方で、プーチン大統領を始め、過去の為政者も極力革命色を払拭しようとしている。

 ロシアでは、今ロシア革命について疑問が呈されている一方で、革命により命を落としたニコライ2世への同情が生まれつつある。ロシア革命は一時は世界中の労働者を始め、多くの下級階層に夢を与えたが、幻想に終わった。革命も時が経てば、理想転じて幻想ということになろうか。

2018年7月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com