4066.2018年7月1日(日) 成田空港建設に反対した後輩が急逝

 昨日の朝日夕刊「惜別」欄に6月12日付本ブログに書いた高校の先輩、江橋慎四郎さんが取り上げられている。先月10日に読売「追悼抄」に大きく書かれていた内容とほぼ同じものである。終生背負った心の負い目であろうか、神宮外苑で行われた出陣学徒壮行会に学徒代表として答辞を述べた胸の内については、家族にはもちろん、いつまでも誰にも語らなかったと言われている。YouTubeで観ると江橋先輩の勇ましく国民を鼓舞するような論調はその時代の反映であろう。しかし、結果的に多くの学徒が戦死された中で、ご自分が生き残ったことに忸怩たる想いを抱いたまま戦後を生き抜いて来られたのであろう。

 さて、大学のゼミ仲間が上野・浅草シンフォニー・オーケストラのチェリストとして参加する定期公演会が毎年2度開催されているが、今日もゼミ仲間がいつも通り揃って鑑賞のため多くは夫婦同伴で浅草公会堂に集まった。この公演会では私には毎度あまり馴染みのない曲目が演奏される。前回はシューベルトの「未完成交響曲」が演奏されたが、今日は3曲とも残念ながらまったく知らない曲だった。

 それより何より今日はちょっとショックを受けた。それは、コンサートが終わってからいつも通り会食を楽しんだが、このところよく顔を見せていた後輩Kくんが癌で5月に亡くなったばかりだと聞いたからである。彼はゼミ同窓生の中でも極めて異色で個性的な男だった。在学中から成田空港建設に強く反対し、地域住民とともに徹底して闘っていた。そのために留年し、大学を中退した。それでも反対闘争を止めなかった。亡くなるまで空港近くに住んでいた。

 実は、ゼミの同期生の瀧鼻卓雄・元読売新聞社社長が昨年「記者と権力」という好著を上梓した。これは毎号月刊誌「選択」に書評を書いている河谷史夫氏が高く評価したドキュメントでもある。読んでみてその中に登場する大学の後輩と称する人物が恐らくKではないかと思い、瀧鼻くんに尋ねたところ、彼から違うと返事があった。人物を特定すると種々問題を惹起する恐れがあるので、彼はそれを避けたのではないかと思っている。Kくんにも「記者と権力」を読んでみるよう勧めたが、どうだっただろうか。私には、同書に書かれた人物は間違いなくKくんであると思っている。いずれにせよ、また個性的な人物が冥界へ去り寂しい限りだ。今日は楽しいような、辛いような複雑な演奏会&会食会となってしまった。

 次回コンサートは11月18日に予定され、演奏曲目は「くるみ割り人形」「展覧会の絵」とされており、知っている曲目だけに楽しみである。

2018年7月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com