4062.2018年6月27日(水) スウェーデン・アカデミーの闇

 昨日小中陽太郎さんとお話しした中で、ちょっと気になっていたことがある。それはスウェーデン・アカデミーに対する見方である。小中さんらベ平連が1967年10月に横須賀米海軍基地に停泊中の原子力空母イントレピッドから脱走した4人の米海軍兵を匿い、スウェーデンに逃がした衝撃的な事件があった。その主役のひとりが小中さんだった。小中さんは4人のうちのひとりを自宅に保護し匿っていた。4人をスェーデン側に引き渡した際に条件で行き違いがあったのかも知れなかったが、仲立ちをしたスウェーデン・ペンクラブとの間に信頼を傷つけるような約束違反があったのではないかと思っている。それが彼らへの不信感の始まりだったように思う。

 更に深刻なことは、実は最近になって今年のノーベル文学賞がスウェーデン・アカデミーの内紛、セクハラ醜聞が公になり組織が混乱して肝心なノーベル文学賞受賞者が決められず、今年は受賞者がいないという異常事態を惹起させたことである。それ以前に国際ペンクラブが実質的にスウェーデン・アカデミーによって乗っ取られるような事態が発生し、意味不明な費用を日本ペンクラブも国際ペンクラブに支払うということがあった。それもこれもスウェーデン・アカデミーが絡んでいた。これについて小中さんは同人誌「川」3号の中で「スウェーデン、おまえもか」と題して批判的に書いている。スウェーデン・アカデミーのガヴァナンス欠如により文学界最高権威であるノーベル文学賞受賞者も決められない体たらくとなった。

 さて、一昨日イギリスのウイリアム王子がイスラエルを訪問して、今収賄容疑の渦中にいるネタニエフ首相夫妻と会った。訪問にはイギリス政府のそれなりの理由があると考えられている。しかし、イスラエル建国70周年にあやかり今年5月に。アメリカ政府がアメリカ国内のユダヤ教信徒らの心情を忖度して駐イスラエル大使館を首都テルアビブから一方的にエルサレムに移転して反発を招き、イスラエルとパレスチナ間に不穏な動きがある時期でもあり、あまりにもタイミングが悪過ぎ、イギリスに何らかの意図があると勘繰られても仕方がない。王子はこの後パレスチナ自治政府代表のアッバス氏とも会う予定だというが、どうも真意が理解出来きない。

 そもそも現在の宗教対立を超えたパレスチナ紛争を引き起こした最大の原因は、第2次世界大戦中にイギリス政府が、イスラエルにも、アラブ側にもエルサレムを首都と思わせるようなお得意の二枚舌手形を発行したせいであることは世界中が承知していることだ。そんな世界中から顰蹙を買っていた複雑な事情をイギリス政府もウイリアム王子も知らないわけがない。上手に丸め込まれたのかどうか分からないが、利用する方もされる方も、あまりにも配慮が足りないのではないだろうか。

2018年6月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com