4037.2018年6月2日(土) 米朝首脳会談実現と高関税措置発動

 先月25日突然米朝首脳会談の中止を一方的に公表したトランプ大統領だったが、昨日ポンぺオ国務長官が、一転して予定通り今月12日にシンガポールで首脳会談を開催すると発表した。このところ国務長官自身の言動や、北朝鮮の金英哲・労働党副委員長の訪米などで会談へ向けた首脳会談の発言など会談の下準備が進んでいるように感じられて、或いはとの期待を抱かせてはいたが、かくも派手にどんでん返しを行うとは人騒がせにもほどがある。最大の懸案は非核化が担保されるかどうかに掛かっているようだ。

 会談の主題は北朝鮮の非核化とアメリカの対北朝鮮経済制裁解除となるだろうが、全体的にどんな会談になるのか現時点では見当がつかない。トランプ大統領は会談は1回で終わるか、2,3回行うか、或いは行わないか分からないと相変わらず気まぐれな法螺を吹いてメディアを煙に巻いている。

 この政治的動きに並行して、一昨日トランプ政権は鉄鋼・アルミ製品への高関税措置の対象から一時的に除外していた欧州連合(EU)とカナダ、メキシコに対して関税をかけると発表した。鉄鋼は25%、アルミは10%をそれぞれ上乗せするが、早速EUやメキシコが直ちに報復措置を実施することを発表した。これまでアメリカは、EUに対しては関税免除を通商協議の条件としてきたが、とても受け入れられないと批判し、メキシコやカナダについても北米自由協定(NAFTA)再交渉に時間がかかり過ぎるとして関税をかけることにした。偶々今カナダで開かれている主要7か国(G7)財務相・中央銀行総裁会議でこれを知った各国代表は、極めて遺憾として不満を露わにしている。EUのユンケル欧州委員長は、対抗措置としてアメリカからの工業製品から農産品まで、幅広い貿易品に25%の関税を課すことを検討していると語っている。これに対抗上各国とも追随すると見られ、貿易戦争の再燃が懸念される。

 わが国は対米貿易黒字国としてアメリカの標的となり関税を課せられる。政府はアメリカ通商代表部に対してアメリカの保護主義的措置について懸念を伝達するとともに、EUと経済協力開発機構(OECD)とも連携していくことにしている。現時点では、日本の対米輸出額は鉄鋼・アルミ製品が約2,100億円に対して、対象とされる自動車は約5.5兆円でその影響は極めて大きい。

 それにしてもトランプ政権は「アメリカ・ファースト」を旗印に保護主義を徹底して、自国経済さえ守れるなら外国に損害を与えようとも佳しとして、地球温暖化防止のためのパリ協定脱退、TPP脱退など、まったくわがまま街道を往くスタンスで猪突猛進である。これで、何を以って世界の一等国と言えるのか、チャンチャラおかしい。

2018年6月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com