4007.2018年5月3日(木) 憲法改正は本当に必要だろうか。

 今日は日本国憲法が施行されてから71年目の憲法記念日である。今や憲法改正が大きな国民的関心事となり、政府も改正へ向けてあの手この手で国民にアピールしようとしている。とりわけ大きな課題となっているのは、憲法第9条の改正である。

 現行憲法と旧憲法条文の中で最も大きな違いは、軍備の保持を認めるか、認めないかであろう。そのために安倍政権は、姑息な手段として9条に自衛隊の存在を認めると併記することで当面敵前突破を図ろうとしている。1強多弱に胡坐を掻いて強行突破しようとしたが、昨今のモリカケ騒動、財務省の不祥事などで自民党への支持が下がり、憲法改正提案も厳しい局面に来た。

 実際朝日新聞の直近の世論調査によると、ここへきて「安倍政権の下での憲法改正について」では、昨年に比べて改正賛成は39%から30%に下がり、反対は逆に50%から58%に上がっている。安倍首相の9条改正案に対しても賛成39%に対して、反対は53%である。今の進め方が危ないと見られているのだ。ただ気になるのは、将来的に現行憲法を改正することについては、その必要ありとした人が、昨年の41%から44%に上がっていることである。

 これには、若い人、特に戦争を知らない世代が周辺諸国の軍備強化、核保有を知り、また、中国の海洋進出などから防衛上軍備を持つべきと考えている節がある。結論ばかりではなく、軍事力を保有することのプラス面とマイナス面をきちんと教えることが必要だと思う。

 また、昨今在日米軍が沖縄を始め各地でいろいろトラブルを引き起こし、地域住民との間で問題になっている。昨日付朝日朝刊の「文芸・批評」欄に池澤夏樹氏が日本政府のアメリカへの従属について厳しくも当然のコメントを書いている。日本のアメリカへの従属ぶりは同じ敗戦国、ドイツとイタリアに比べてもあまりにも違い過ぎる。その根底には毎度話題になる日米地位協定が立ちはだかり、日本の米軍基地内には日本の法律はおろか、警察権も介入出来ない。米軍機には日本の航空法も及ばない。ドイツ国内の米軍基地内にはドイツ人警察官が常駐し、警察権が行使される。米軍の訓練や演習でもドイツに許可、承認の権限がある。イタリアの米軍基地はイタリアが管理し、イタリア軍司令官が常駐している。

 日本ではこれまで米軍の言いなりで、日米地位協定について本気で改正の交渉しようとの意思表示をしてこなかった。これがアメリカ側に自由に思いのままアメリカン・スタイルを容認してきた原因である。

 今アメリカ政府は、日本政府に対して在日米軍駐留経費負担の増額を求めている。確かに日本周辺の防衛に関しては、米軍の貢献を認めざるを得ない。だが、それが泥縄式に許されて良いのだろうか。そろそろ日本政府もアメリカと向き合って対等の立場に立って日本の、また東アジアの防衛について真剣に話し合いをすべき時に来ているのではないだろうか。

 憲法記念日も本当に祝える日としてこのまま続けられるだろうか。

2018年5月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com