3日前に行われた朝鮮半島南北首脳会談の結果について新聞、テレビを通して広い角度から種々様々なコメントが発せられている。当事国の北朝鮮と韓国の報道がまったく対照的であるのが、相変わらず両国のお国柄を表している。北ではテレビ画面をかなり編集して生の声をほとんど伝えず、ほんの30分程度しか伝えなかった。一方の韓国は前日から始まったテレビ放映は金正恩委員長が平壌へ帰った後まで伝えていた。しかも韓国国内における国民の北の平和へ対する見方がガラッと変わり、世論でも14.7%から50%も好意的にアップして64.7%に高まったというから、その効果は絶大だったということである。
たった1日の両首脳の宥和的な会談によって過去の裏切り行為を帳消しにしてまで変わるものなのか、些か懐疑的にならざるを得ない。
それはひとつの不可思議な現象となって現れている。イギリスの著名なブックメーカー(賭け予想屋)では、今年のノーベル平和賞のトップ候補に金正恩、文在寅両首脳が挙がっているというから驚くではないか。世界平和のために大きく貢献したノーベル平和賞候補者に、核実験を繰り返し世界を恐怖の底に追い込み、平和をぶち壊してきた人物が、たった1度だけ真っ当な所作を示したということでノーベル平和賞にノミネート?されるようでは、ノーベル平和賞自体の価値が大きく損なわれるのではないだろうか。加えて、このブックメーカーの予想リストの2位にアメリカのトランプ大統領が候補として挙がっているとは、益々呆れて物が言えない。
つい最近もイスラエルのアメリカ大使館を首都テルアビブから近々エルサレムに移転させると広言し、アラブ諸国から猛反発を買い反米テロを誘発させている人物である。平和への貢献というより平和に背を向けているような行動である。しかも、支援者たちの前でスピーチした大統領は支援者から「ノーベル平和賞!」「ノーベル平和賞!」とおだてられたようなヤジが飛ぶと真に受けて「ノーベル平和賞か?ハハハ。素敵なことだ。ありがとう」と満更でもない顔を見せた。本気でもらいたそうな表情を見せた。例え賭け屋の予想にせよ、自分が国際社会でどんな風に受け止められているか、まったく分かっていないようだ。こういう好戦的な人物をあと2年半もの間アメリカ大統領として見守らなければならないとは、アメリカの核の傘の下にいる日本人にとっては因果なことである。