先日映画「ビルマの竪琴」がテレビで放映されたので、録画して今日ゆっくり鑑賞した。竹山道雄著「ビルマの竪琴」は、元々子供向きに書かれた作品だが、市川昆監督、和田夏十脚本のコンビで2度も映画化されたほど大人の胸をも打つ傑作である。第2次世界大戦末期から終戦直後のビルマ・ムドンの日本人捕虜収容所を舞台にして、ビルマの僧侶になった日本人兵・水島上等兵と井上隊長以下の兵隊仲間との交流と友情を描いた心温まる作品である。終戦後間もない昭和24年に発表された時代制もあり、意外にも旧制一高教授だった竹山はビルマを訪れることもなく、ビルマ人僧侶やビルマに関する格別な知識もなしにペンを執ったので、肝心な点で見落としや間違いが見られる。
僧侶には竪琴のような楽器を奏でて楽しむことは、敬虔な仏教徒の国ビルマではとても考えられず、私自身この点をビルマで現地の人から指摘されたこともあるくらいである。1956年に制作された最初の作品は映画館で観た。安井昌二が「水島上等兵」を演じてラングーンのシュエタゴン・パゴダ境内で軍靴を履いて走っていたが、どこのパゴダも土足は禁じられていて一度でも訪れた人には分かることである。
今日観たのは、1985年版で水島上等兵は中井貴一、井上隊長は石坂浩二が演じていた。いずれも全編を通して♪埴生の宿♪が度々聞かれてほのぼのとした心境になる。ただ、作者が同じで、映画自体も監督、脚本とも同一人物であるにも拘らず、ストーリーの重点的な取り上げ方と水島と他の日本人軍人への力点の置き方が少々異なる。尤もそれ故に同じ作品を同じ人が2度までも作ったということだろう。
私にはビルマに対して格別な思い出と同時にノスタルジアがあるので、ビルマについては他の旅行番組でも好んで鑑賞するようにしている。映像に写る山川の景色や、パゴダ、ビルマ人の笑顔、人々の生活模様がとても印象深く、興味が尽きない。
今ビルマは、第2次世界大戦中イギリスが強制移住させたイスラム系ロヒンギャの難民問題で、問題を起こした仕掛け人のイギリスが何らのお仕置きも受けずに理不尽にも彼らを受け入れさせられたビルマが国際社会から非難され、国家顧問のアウンサン・スーチーさんも苦しい立場に追い込まれている。そのスーチーさんの側近だったティン・チョー大統領が健康上の理由で辞任した。スーチーさんにとっては痛手だと思う。
イギリスも、国際社会もビルマを責めることばかりで一向に救いの手を差し伸べようとしない現状では、ビルマの近未来もあまり明るいものとは言えないのが、ビルマ・シンパとしては悲しいことである。
今日大相撲春場所が千秋楽を迎え、横綱鶴竜が13勝2敗で8場所ぶり4度目の優勝を飾った。京都市立中学卒業の1954年の今日、中学の同級生と春場所千秋楽を観戦に大阪府立体育館へ行ったことを思い出す。大関三根山が12勝3敗で初優勝を果たし、その後に優勝パレードの追っかけをやって三根山と握手したことを懐かしく思い出す。その直後に京都から藤沢市へ引っ越して、ここで高校へ入学した。今から64年も前のことであるが、つい懐かしく思い出してしまった。