今日3月17日は聖パトリック・デイと呼ばれるカトリック教徒のお祭りであり、カトリック国アイルランドでは祝祭日である。このアイルランドは日本では意外に知られておらず、精々アイリッシュ・ティーか、ギネス記録で知られるギネス・ビール程度である。
1992年秋旧文部省の教員海外視察団のお伴で、首都ダブリン郊外のダン・レアラ(DUN LAOGHAIRE)という小さな町を教育研修のため訪れた。都市名でも分かるように地名の発音が難しく、人名などは土地の人でも正確に読めず、本人に聞かないと分からない有様で、このダン・レアラも現地へ行ってから改めて正確な読み方を知った次第である。
敬虔なカトリック教徒が多く、家族はほとんどが大家族で大所帯である。レストランで食事をしていると入店してくる家族連れが10人近いのに圧倒されたものである。伝統の聖パトリック・デイの日に際してふっと26年前のアイルランドを懐かしく思い出した。
さて、先日マイカーのフォルクスワーゲン(VW)POLOを運転中に車内のブレーキ・ランプが点滅する警戒警報が表れたので、レッカー車でマイカーを運んでもらい代理店で点検、修理してもらった。それほど心配するようなことではなかったが、このPOLOが同じような不具合になったのはこれで2度目であり、2年前にはブレーキが利かなくなった怖い経験もある。その前に乗っていたトヨタ車や日産車に比べると問題が多いと感じていた。そのVWが今自動車販売マーケットでは世界的に成長著しいというから分からないものだ。もう車を買い換えることはないが、安全性と利便性を期待して購入したVWには些か期待を裏切られた。
2017年の世界の自動車販売実績では、そのVW社が過去4年間トップの座にいたトヨタを追い越し、念願の首位に立ったことを知った。今やGMやフォードのようなアメリカの自動車メーカーは、アメリカ市場でもシェアを外国車に奪われ、かつての輝くような華々しい存在ではなくなった。これがトランプ大統領をイライラさせるひとつの原因でもある。
だが、落日のアメリカ・メーカーに引き比べて日の出の勢いで伸びて来た日本のメーカーにもやや陰りの傾向が見えて来た。その中で日本企業の代表格とも言えるトヨタ自動車の首位陥落は、経済立国のわが国にとっては少なからずショックである。
トヨタはVWにトップの座を奪われたばかりでなく、日産・ルノー連合にも追い抜かれ3位に落ちたのである。2015年には10位、2016年は4位だった日産・ルノー連合がついにトヨタを追い越すまでになったとはとても想像が出来なかった。その大きな原因は、中国市場と肝心なアメリカ市場においてVWと日産・ルノー連合に後れを取ったことにある。
昨年中国市場においては、VWが418万台を販売して圧勝したのに対して、日産が151万台、これに傘下の三菱自動車の13万台が加わる。これに対してトヨタはVWの1/3以下の129万台である。アメリカ市場ではVWはトヨタの1/4であるが、VWは対前年5.8%の伸びに対して、悲しいかなトヨタは0.6%のマイナスの伸び率である。この先どうなるか予想は難しいが、月刊誌「選択」3月号では、アメリカ、中国市場で苦戦続きのトヨタの世界第3位は当分続くと見ている。
日本の政治家や官僚らは、国会内で内輪もめや国民を騙して手抜きばかりやっているが、民間企業は厳しい世界の試練を味わっているところだ。