一強多弱に胡坐をかいて国民を甘く見たのか、このところ安倍政権がしばしば失態を犯している。働き方改革国会と銘打ち、目玉法案のひとつとして力を入れている「裁量労働制」の対象拡大を目論んでいたが、データのねつ造が洗い出され、それも400を超えるデタラメ数値を参考にしていたことがばれ、ついに違法なサービス残業を合法化すると受け取られている裁量労働制を「働き方改革関連法案」から除外することを決めた。これは経済界から強い要望があって実施しようとした制度であり、今国会の提出を断念したことに榊原定征・経団連会長も失望しているようだ。
この他にも怪しい事象がある。森友学園との国有地売却に伴う財務省の決済文書でも、契約時の文書の内容と、1年前に国会議員に開示した文書のそれが違っていることが分かった。交渉記録も変わっているという。問題発覚後に書き換えられたのではないかと疑問を持たれている。きょうの参議院予算委員会でこの点を質問された麻生太郎財務相は、大阪地検の捜査に影響を与える恐れがあるとして答弁を差し控えた。
どうしてこのように国家がらみの事象に、嘘の報告書が作成されるのか。これは偏に政治家と高級官僚が示し合わせた私利私欲の成せる技である。
後者については、しきりに言われているように関係者、とりわけ森友学園小学校の名誉校長に就く予定だった安倍首相昭恵夫人と、国会で重大な嘘つき発言をして出世した佐川宣寿・国税庁長官を証人喚問すべきだと思う。
さて、このところニューヨークと東京の証券市場の値動きが異常に激しく、直近の日経平均株価の対前日終値は、一昨日321円、昨日344円、今日は543円と3日連続して大幅な下落を示した。3日間で実に1,208円も値下がりした。これは経済不況に伴うものではなく、お騒がせ男・トランプ大統領の輸入制限発言が水を差したのである。トランプ大統領の保護主義、アメリカ・ファーストの一端である。EU委員会のユンケル委員長を始め、最大の鉄鋼取引国カナダ外相、EU諸国や中国からも反発の声が上がっている。
トランプ大統領は、鉄鋼に25%、アルミに10%の関税賦課を表明したのだ。早速自社株が対前日96円も下がった進藤孝生・新日鉄住友社長が、この発言に対して批判的な会見を行った。義父はすでに亡くたったが、生前アルミ業界最大手の日本軽金属会長を務めていたので、存命なら進藤社長同様にカンカンになって怒ったことだろう。これが貿易戦争に発展してアメリカ経済に悪影響を及ぼすばかりではなく、中国経済にも影響し、両国への依存度が高い日本にも響くと予測されている。
これには自然もびっくりしたのか、北海道では急速に低気圧が発達し、数年に一度の豪雪に襲われている。やれやれである。