9日に開幕したオリンピックは今日閉会式を迎えた。毎日朝から晩まで各テレビ局も中継していたが、それも今日が最後だ。悲喜こもごもだったが、日本は予想以上に良い成績を挙げたのではないかと思う。金4、銀5、銅4、合計13個のメダルを獲得したのは冬季大会では過去最高である。日本チームとしては上出来だったと思う。トップのノルウェイは金14個を含む計39個のメダルを獲得したのは流石だと思うが、いつもメダル争いに参加する次期開催国の中国が金メダル1個というのは意外だった。
今回特に印象的だったのは、選手を応援する家族や出身地の人々、関係者などへの密着取材が、ほのぼのとする空気を写し出していたことである。特に女子スピード・スケート500mで金メダルを獲得した小平奈緒選手と、銀メダルに終わった過去2連覇の韓国のイ・サンファ選手との温かい友情シーンが微笑ましかった。
若干気になったのは、最近の大会で採用されるようになった新競技種目の中には、少し危険ではないかと思うような際どい曲芸のようなプレイを要求していることである。実際ハーフパイプとか、エアリアルなどで多くの選手がケガをした。スポーツ精神の観点から考えて少々疑問に感じた。北朝鮮の政治がらみの参加も主旨とは違いちょっと釈然としなかった。
ともあれ大会は華々しい閉会式とともに成功裏に終わった。この後来月9日から10日間パラリンピックが開催される。オリンピック同様に盛り上がって欲しいものである。
一方で、オリンピックにすっかり話題をさらわれてしまったが、今日東京マラソンが行われ、2位で日本人トップの設楽悠太選手が、2時間6分11秒の日本新記録をマークした。実に16年ぶりに高岡壽成選手の記録を5秒更新した。おまけに報奨金制度により1億円のボーナスを手にすることが出来る。立派なものだと賞賛してあげたい。
さて、2008年に文芸社から「新・現代海外武者修行のすすめ」を上梓して以来、ちょうど10年を経過した。先日同社から契約により全国書店への販売依頼を取り止めるが、ついては在庫を処分するのでどうしたいかと照会があった。まだ230冊在庫があるようなので、書斎の空きスペースを考えて150冊ばかりいただくことにした。その内50冊を小田急トラベルに贈呈することで小田急の佐々木社長と話し合いがついた。私が同社在職中に手がけた、ビルマ旅行業界夜明け前のビルマへの旅行企画の苦労話なども書かれているので、同社の若い社員に多少参考になるのではないかという思いから、佐々木社長と了解したものである。残りの100冊の内、50冊は次回の高校ラグビー祭の折にでも現役ラグビー部員に寄贈しようかと考えている。
この書物には、特別思い入れが強い。2004年新風舎が私の処女出版書として「現代海外武者修行のすすめ」を出版して再販を重ねていたが、同社経営が行き詰まり倒産して困惑していたところ、タイミング良くその経営権を継承した自費出版の大手・文芸社が拙著名を一部変え、文章も若干修正して再発行してくれたものである。
これには、始めの頃夢中だった海外武者修行で危なかった事件に遭遇してショックを受けた体験や、親切な人たちとの交流など思い出深い話についても触れている。今年第16回を迎える「開高健ノンフィクション賞」の第1回の最終審査で、残念ながら選に漏れたが、自分でも珍しくも面白いノンフィクションだと自画自賛している。
現在「海外武者修行男の言い分」(仮題)を書いているが、その中には「現代海外武者修行のすすめ」からアイディアを転用した個所もある。今年中に上梓しようと考えている新著も「現代海外武者修行のすすめ」のように重版となるよう心を籠めて仕上げたいと考えている。