恒例のトランプ・アメリカ大統領による一般教書演説が、一昨日行われた。アメリカでは議会で大統領が演説する機会はほとんどない。年に1度行われるこの一般教書演説はテレビでも放映され、アメリカ市民も演説を直に聞くことが出来る。
問題発言が多い大統領だけにどんな突飛な発言が飛び出すか、全米で注目されていたが、今年11月に行われる中間選挙を意識したのか、80分間はトランプ節封印のスピーチだったと揶揄されている。取り敢えずあまり過激な発言はなく、支持者をホッとさせたようだ。就任以来徹底して移民や不法入国者らを厳しく非難していたが、この演説では「統合」「融和」「団結」「超党派」等々のような言葉を使い、アメリカ人は「同じ家」「同じ心」「同じ運命」「同じ国旗」を共有しているとアピールして、極力普段の下品な発言を慎んでいた。
不法移民対策のひとつとして、不法移民の子ども180万人に市民権を与えると述べる一方で、メキシコとの国境に巨大な壁を建設すると言い、その費用をメキシコが支払わないので、議会が建設費用を認めるよう改めて主張していた。大統領は経済面で貢献した結果として、これまでに300万人の労働者が減税の恩恵を受けたと自慢しながら、1.5兆㌦のインフラ投資を行うとしている。北朝鮮に対しては引き続き最大限の圧力を加えるとも強調した。
共和党議員からは拍手喝采だったが、渋い顔をしていた民主党議員は、トランプ大統領の演説が終わるや拍手もせず、そそくさと議場から立ち去った。内心納得していなかったのだろう。
これからトランプ大統領の進む道には、どんな難問や障害物が立ちはだかっているのか分からない。だが、少なくともアメリカ大統領なら、もう少し理性的な行動を取ってくれないと世界が困る。
さて、昨夜半札幌市内で生活保護受給者らが暮らす共同住宅が全焼し、16人中11人が亡くなった。1人暮らしの生活困窮者ばかりが生活していた。雪の降る夜中に、戸外へ逃げることも出来ず、侘しく生涯を終えたとは、何とも切ない。建築後50年を経過した建物で消火用スプリンクラーが設置されておらず、加えて夜間は管理人が不在だったという。このように社会の隅っこに取り残された貧しい人々が、たった1人で個室に住み、周囲との交流もなく晩年を送っていたとは何とも寂しいものである。今やほんの数分間に580億円もの大金が消失する社会である一方で、こういう救われない気の毒な人も大勢いる。考えさせられる。