日本の受動喫煙の環境が世界でも最悪と叩かれ、国際オリンピック協会(IOC)からも2020年東京オリンピック開催に当たっては、原則的に屋内禁煙を求められ、昨年来厚生労働省で実施案作りに当たっていた。そして昨日厚労省は受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案の新たな骨子を発表した。
ところが、計画案とは言え、調べてみると喫煙対策については完全に骨抜きであることが分かった。端的に言えば、面積150㎡以下の小規模飲食店では、「喫煙」か、「分煙」の表示さえ掲示すれば喫煙を認めるというものである。
不意にこの骨抜き案が出てきた背景には、厳しい規制を求めていた塩崎恭久・前厚労大臣が昨年8月に内閣改造で大臣職を去ったことが大きい。塩崎前大臣当時の昨年3月には、30㎡以下のバーやスナック以外を原則禁煙とする案を公表していた。それが、今では厚労省原案に反対する自民党議員の声を受けて150㎡以下の飲食店にまで喫煙を認め、大きく後退する新案が検討されている。JTやタバコ農家に支えられた自民党国会議員が圧力をかけたのだ。都内では150㎡以下の飲食店が86%を占めているというから、ほぼすべての飲食店で煙草が喫えるということになる。完全にザル法である。これでは、世界保健機構(WHO)の日本の受動喫煙対策への評価は多少上がるが、相変わらず喫煙大国であることは間違いない。
国に加えてもっと情けないのは、東京都である。都は昨年9月に屋内では喫煙室の設置も認めない「屋内禁煙」を挙げていた。小池知事自身、国のやり方が生ぬるいと感じて、国はやる気があるのかと糾弾していたほどである。それが、最近では都案が国との間に差があり過ぎるからと「実効性のある条例案」を提案するとして、国の法案がどうなるのかを見届けたいと腰砕けの有様である。小池知事自身常に人気を考えながら行政を行っている人であり、どちらが得か見定めたいのではないだろうか。次期都議会は6月に開会だが、それまでにきっちり実施案、それも受動喫煙防止を推進する案を提出することが出来るだろうか。
さて、今日新宿へ出かけた序でに、小田急百貨店で今日から開催の今年のNHK大河ドラマ「西郷どん」で話題の「西郷隆盛と幕末維新遺墨展」を覗いてみた。幕末から明治へかけて活躍した志士たちの肉筆墨書を拝見した。とにかく力強くしっかりした筆致で難しい言葉を書いている。西郷のみならず、徳川慶喜、大久保利通、勝海舟、三条実美、山内容堂、福澤諭吉ら著名人の肉筆の書にため息が出るほどである。明治維新前後の志士たちは、腕も立ったが、教養の基礎もしっかりしていたと見た。一見の価値あり。
今夜は3年ぶりに皆既月食を見ることが出来た。スーパーブルーブラッドムーンという赤銅色の月がわが家の真上でも見られた。そこで一句浮かんだ。「寒空に 自然の摂理 明かりかな」 お粗末でした。