また新たな暴力事件が明るみに出た大相撲初場所で、明日の千秋楽を待たずに6年ぶりに平幕力士・栃の心の初優勝が決まった。このほど発覚した暴力事件というのは、2014年9月に春日野部屋で先輩力士が後輩を殴打して全治1年6カ月のケガを負わせ、加害者が有罪となった事件である。当事者の2人ともすでに引退してしまったが、そんな暴行事件を春日野親方は協会に報告していなかった。皮肉なことに栃の心はその春日野部屋に所属している。ジョージア出身の力士として優勝は初めての偉業であるが、栃の心は努力家として知られ、歯科医の資格もあるというからすごい。5年ほど前に右膝靭帯を損傷して一時は幕下下位まで転落したが、再び幕内へ復帰してきたというから、その努力たるや並大抵のものではないと想像される。残念ながら初場所は2人の横綱が休場して、その分ライバルが少なくなったこともあるが、だからと言って栃の心の優勝の価値が下がるものではない。
同じ外国人力士で体形も似ているエジプト出身の十両力士・大砂嵐が、無免許で車を運転し事故を起こして休場したので、来場所は間違いなく幕下へ落ちるが、栃の心を見習って幕内へ復帰して優勝を狙ってほしいものである。
それにしてもなぜ相撲界には、稽古と称して若手をしごく暴力の土壌があり、それを隠蔽しようとする風土があるのだろうか。すべての原因を徹底的に洗い出して、相撲協会だけではなく外部の有識者も交えて抜本的な防止対策を講じなければ、また同じような事件が発生する恐れがある。
さて、相変わらず話題を提供しているアメリカのトランプ大統領が、また注目発言をして世界中の関心を呼んでいる。ひとつは、国内問題だが、先刻来トランプ大統領サイドが一昨年の大統領選でロシアと接触して大統領選でクリントン陣営に不利な情報を流していたとされる事件で、大統領が自身の司法妨害疑惑を捜査する特別検察官を解任するよう指令していたとメディアが伝えた。大統領にはその権限はないが、それにしても民主主義の根幹である三権分立を侵害する行為を堂々と語る点がトランプらしいと言えば言えるが、大統領の資質に欠けることをここでも示している。
もうひとつの問題は、トランプ大統領がスイスのダボスで開催中の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で演説し、アメリカが離脱した環太平洋経済連携協定(TPP)について、以前よりアメリカに有利な条件があるなら復帰してもよいと語った。ここでも相も変らぬ「アメリカ・ファースト」のPRである。他国にとってはどうあれ、自分たちの都合さえ良ければそれに参画しようというのだから互恵協定なんか毛頭考えていないのだ。
これに対してドイツのメルケル首相や、フランスのマクロン大統領は批判的である。河野外相もアメリカのTPP復帰は期待したが、今やアメリカ抜きで決まっている新しいTPPについてアメリカ優位を望むのは難しいと批判的である。至極当然の意見だと思う。
まぁ、身勝手なことばかり主張しては世界中から猛反発を食らっているトランプ大統領の逆噴射はいつ止むことだろうか。
今日も都内の最低温度は零下1.8℃で、3日連続氷点下は36年ぶりだそうだ。まだまだ寒さは続くようだ。