地味ではあるが、大変重要な課題について安倍政権が一向に問題解決へ向けて前進しないことを心配している。
日本の財政状況が年々悪化していることに首相以下取り巻きが解決へ向けて対策を考えていると口では言っているが、その実がまったく上がらず改善されない点である。実は、近年恒常的な課題となっている国の財政悪化、突き詰めれば毎年国家予算の赤字額が増え続けていることである。
政府が2020年度の黒字化を目指していた国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)が、その目標とする20年度に黒字どころか赤字幅が10.8兆円に拡大すると発表されたのである。こんな大事なことがそれほど月日の経たないうちにいとも容易に逆転現象をやってのけるとは、いかなる事情があるにせよ少々計画段階から甘かったのではないだろうか。我々国民がチェック出来ないことが苛立たしい。すでに国の累積借金は1,000兆円を超える恐るべき規模に達している。歴代の首相も少しでも赤字を減らすべく努力してきたとは思いたいが、実質的には知るところに依れば、橋本龍太郎元首相時代に赤字幅を少々減額させた程度ではないだろうか。
来年10月に予定されている消費増税で1.7兆円を財政赤字に補てんの予定だった。ところが、政府の一方的な政治対策でそれを教育無償化に振り向ける、教育世代を持つ家庭にとっては有難いことに違いはないが、身勝手なやり方で国民一般の立場から考えれば、かなり理不尽ではないだろうか。こんな近視眼的なやり方をやってこの先増える借金をどうやって補っていくのか、現状ではまったく対策が示されていない。聞くところに依れば、財務省役人は財政支出抑制を強く求めているが、地方出身の国会議員辺りが無理難題を言って自己本位に我を通そうとしているようだ。自民党の中には、財政赤字の減額を憲法九条問題よりも重要視すべきだと主張するまともな議員もいることはいるようだ。
しかし、これは放って置いても良い問題ではない。いずれ我々より若い世代に負の遺産として降りかかって来る問題である。アメリカから言われれば直ぐにも予算外で簡単に防衛施設を購入する、大判振る舞いをするような無節操な考えを反省して、手綱をしっかり絞め、支出を厳しくチェックして少しでも国家の借金を減らすよう知恵を絞り、行動すべき時に来ているのではないか。