ひと昔前なら今日は「成人の日」である。華やかな晴れ着を着た若者が集う姿も昔とは大分変っている。1月の第2月曜日が成人の日に変わり、今年は先週の月曜日が祝日となった。一部に「晴れの日」の晴れ着や関連付属品を扱う業者‘Hare no hi’が、成人式当日になって突然営業を止め、経営者が雲隠れしてしまった不祥事が多くの新成人にショックを与え、それが今も影を落としている。
私自身20歳時は、祝うどころでなく2年も浪人していた時期で受験もラストチャンスとばかり血眼になって最後の追い込みをかけ、成人の祝いどころではない時期だった。あれから60年も経過した。受験生にとって第1関門のセンター試験も昨日終わって幾分ホッとはしているだろうが、本番はまだ先である。悔いのないよう全力を発揮されることを祈るばかりである。
さて、安倍首相が昨日バルト3国訪問の最後の地、リトアニアを訪れ、カウナスの杉原千畝記念館や首都ヴィリニュスのさくら公園内の杉原顕彰碑を訪問したことをテレビで伝えていた。私より4カ月遅い。一昨年も私が訪問した1カ月後にキューバを訪れている。今回は折角近くまで来たのだから、戦争体験のない首相にはちょっと足を伸ばして「ホロコースト」の陰惨な現場である「アウシュヴィッツ収容所」も見学して欲しかった。拙稿「アウシュヴィッツを考える」についてほとんどの知人は好意的な感想を述べてくれる。その中には、元日本テレビ政治部長・菱山郁朗氏のように、拙稿を読んで感動し俳句を詠み、同社OB社員会作品展に応募して秀作と評価された人もおられる。
因みに菱山氏は「収容所記 読みて粛なる 初湯かな」という名句を詠まれたそうである。
その反面文中で差別を糾弾する意味で使用したユダヤ人の「成金」とか、「アイヌ」「在日朝鮮人」「穢多」などの表現をあげつらい、これらの言葉は危険だから使用しないよう妙な気の遣い方で「表現の自由」「言論の自由」にブレーキをかける理不尽な動きがあるとも聞いている。恐らく安倍首相のアウシュヴィッツ見学忌避には、今徐々に強まりつつある保守政権内の極右的な背景があるのではないかと気になっている。昨年核廃絶運動でノーベル平和賞を受賞した「核兵器廃絶国際キャンペーン」‘ICAN’フィン事務局長が今日広島を訪れ、事前に安倍首相との面会を望んだが、日程の都合がつかないと外務省からの回答で会うことは出来ないと言われたようだ。反核、反戦から益々遠ざかろうとする安倍政権の姿勢がここにも見えてきたようだ。
残念ながらわが国も目に見えないところで、徐々に右傾化の環境が醸成されているようで心配でならない。