日韓関係がこのところ順調に行っていない。言うまでもなく従軍慰安婦問題の影響が大きい。韓国国内に慰安婦像が建立されて、その数は年々増え続けている。今では韓国以外でも像の設置を許している都市が増えて来た。最近ではサンフランシスコ市内とマニラ市内の慰安婦像設置が問題を提起している。前者は土地の寄贈者が像を付与した形になっていたが、最終的に市長の判断に委ねることに決まった。その結果SF市長は設置を認めたが、姉妹都市の大阪市長はこれに不満を述べて姉妹都市提携を解約すると公表した。ところが、つい最近SF市長が心臓発作で急死して姉妹都市提携解除はしばらく延期されることになった。一方後者のマニラ市内に設置したのは、中韓系の市民が市の許可を得なかったことから近日撤去されるという。
いずれにせよこの慰安婦像は各地で物議を醸している。韓国政府は反日運動の一環となる慰安婦像を認めている。国際法は外国大公使館敷地前に相手国を誹謗する行為を禁止している。しかし、韓国はソウル市内の日本大使館前と釜山総領事館前に設置された慰安婦像を排除するどころか国民の気持ちの表れとして黙認する有様である。
日本政府がかねてより一昨年の今日日韓両政府が合意した約束を実行するよう要求しているにも拘わらず、韓国政府は朴槿恵前大統領時代に、国民が納得しないにも拘わらず日本政府の言い分通り結んだ協約であると身勝手な理屈を言い張り、日韓合意は実行されていない。それどころか日韓合意破棄を要求している。
今日韓国政府は日韓合意の検証結果を発表した。その結果合意は間違いで、被害者である慰安婦の声を聞き届けていないということだった。両政府間に裏の合意があったとか、外交より人権の方が優先されるべきだと、合意に至った経緯や精神はまったく考慮されていない。これでは、検証結果も意味がない。このまま推移するなら、当面日韓関係の改善は難しい。
それにしても国家同士が同じ土俵に上がって交渉の末、不可逆的な協定締結をしながら、国のトップが交代するや自分たちの希望が採り入れられていないから無効であるというのでは、子どもの理屈であり民主主義国家としてはとても考えられない。
北朝鮮が日本人を拉致して返さず、一方的にことはすべて終わったとか、交渉を再開するといいながら無断で取り止めたり、一般社会では当然の約束が守られない。約束を反故にするこの理不尽さは、北も南も朝鮮民族に共通なのではないか。北朝鮮と韓国との外交交渉が難儀なわけである。
隣国との外交に絶望的な気持ちになる。