トランプ大統領の馬鹿げた発言以来注目を集めているイスラエルのエルサレムでは、聖カテリナ教会でクリスマス・イヴ恒例のクリスマスミサが行われた。隣のパレスチナ自治区ベツレヘムの聖誕教会前にはクリスマスツリーが設置されたが、例年に比べて訪問者の数は極端に少ないという。5年前の夏にこの聖誕教会の内部へ入り、キリストが誕生された場所というものをじっくり見させてもらったが、まったく神々しいとか、畏れ多いというようなイメージはなかった。2000年前には馬小屋だったそのスポットは今では聖地となっている。今やそこに馬小屋の雰囲気はまったく感じられず、キリスト教徒にとってはキリストを崇める聖地となり多くの信徒がお参りするのを黙って並んでいたことを想い出す。
今年のクリスマス・イヴは、トランプ発言のせいでデモが予想され訪問者が少ないという。トランプ旋風に荒らされたエルサレム周辺ではまたひとつの騒ぎとなっている。トランプ発言に触発されたグアテマラのモラレス大統領が大使館をエルサレムに移すと言い、アメリカに追随することを表明した。これ以上付和雷同組が表れないよう望むばかりである。
さて、今日唐突に禁固25年の判決により収監されていたペルーのフジモリ元大統領が健康面から人道的な取り扱いで恩赦を与えられるとの報道があった。フジモリ氏は私と同じ1938年生まれである。派手で華やかだった大統領時代に比べていかにも寂寥感が漂っている。1990年日系二世のフジモリ氏が大統領の座に就くや、ペルーはおろか日本でも出身地熊本県を中心にフジモリ人気が高まった。1996年首都リマの日本大使館を突然テロリストが襲撃し、大使館は占拠され大使館員らは拉致され、長い間膠着状態が続いた。事件から4カ月後政府軍治安部隊が強行突入し人質は解放された。テロリストはすべて殺害され、政府軍にも2名の犠牲者を出したが、思い切った作戦は一部に批判もあったが、その勇気ある行動を国内外から広く賞賛された。フジモリ大統領株は上がったが、その後汚職疑惑や、治安部隊を使って市民を殺害したとしてその独裁的手法を批判され失脚し、昔日の栄光は失われた。20年ほど前にメキシコで出会ったペルーからの観光客はフジモリ氏をべた褒めだった。何が故に急転直下で天国から地獄へ落ちたのか正確なことは分からないが、支配者たる者いつまでもその地位に留まっているわけにはいくまい。しかし、日系人であるが故になぜか同情心が湧いてくるのは止めようがない。
金正恩も、習近平もいつ独裁者の椅子から引き摺り降ろされるかは誰しも分からない。